ピーコート
ようやく冬のアウターのことを考えられる気候になってきた。今週も引き続きアイビー的コートについてみていきたい。
ダッフルコートとならんで特徴的なディテールをもっているのが、ピーコートである。動きやすい短い丈に、左右どちらを前にしても留められるようになっているダブルの身頃とボタン。そして立てることによってつよい風を防いでくれる大きな衿。冷たく冷えた手を温めるための縦に切られたポケットなど、ほかのどのコートにもないデザインである。
このコートももとは英国海軍の防寒着である。甲板などでの厳しい気象条件下でも耐えられるよう、前述のような機能性が独特のデザインを生んだといえる。左右どちらでも上前を変えられるのも、風向きにあわせて侵入を防ぐためであり、大きなボタンがついているのも手袋のまま扱うことができるようにであった。
わが国ではアイビーアイテムとして上陸したが、その短い丈からくる動きやすさと、愛らしいデザインから、これまた学生が制服の上から着るコートとして市民権を得、完全なベーシックアイテムとなったのだ。
定番のコーデは、生成りカラーのオイルド・タートルネック・セーターが鉄板だが、アイビーのアイテムであればほとんどのものがあってしまうほど、着回しに便利なコートもない。それもやはり機能的でシンプルなディテールがなせるワザである。
シェットランド・クルーネック・セーターでもアーガイル柄のVネックセーターでの大丈夫だし、チノパンからコーデュロイ・パンツそしてブルージンズにもぴったりなのだ。
店主が個人的に気にっているのは、ボタンダウンシャツにあざやかな色合いのシェットランド・クルーネック・セーターをはおり、ボトムスは細めのホワイトジーンズを短めにして、足元はデザートブーツで固める。もうこうなると60年代の街から飛び出してきたような雰囲気プンプンである。
デザインがシンプルなピーコートは、ぜひカラーコーデを思いっきり楽しんで、カジュアルなテイストに振ってアイビーを楽しむのがおススメである。