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人事屋修行記(第102話)

大量採用

2007年4月入社の新卒採用はリーマンショック前の好景気で、採用人数を大幅に増やした年でした。それまでは、毎年文理あわせて100名程度を採用していたのですが、開発の現場はつねに工数不足で技術者派遣を大量に投入し、客先からのオーダーに対応していました。

 

数年前から開発の担当役員が採用に非常に興味を持ってくれて、開発本部内に号令をかけて、全面的な協力体制を敷いてくれていました。その役員から、工数不足で派遣社員で補っている状況をなんとかしないと、ビジネスチャンスも失うし、そもそも社員が担うべき業務を派遣社員にやらせていては、社内にノウハウが残らず、競争力が低下するので、もっと新卒採用人数を増やすべきでは?と問題提起されていました。

 

人事の仕事を長年やっていると、たとえば採用人数の決め方ひとつとっても、前年と同じロジックでおおよその人数も前年同様でいく、というところからスタートしてしまい、そもそも現場の状況がどうなっていて、中長期的に考えたときにどうあるべきか、などという観点からなかなか考えられないものです。

 

そこらへんに対し鋭く問題提起をしてもらい、現状を踏まえたときにどうあるべきか、という観点で人数を算出し、開発本部のニーズをまるごと反映する形で、例年の1.5倍の150人の採用計画を立てることになりました。

 

 

当然、質は落とさずに人数を増やすということで、全国の機電系学部のある大学は、国公立の一期校を除いてほとんどしらみつぶしにコンタクトをしていきました。採用力のそんなに高くない部品メーカーですので、ターゲットは地方の私立大学の上位層に絞込み、とにかく学内説明会にはできるだけ参加し、母集団を作り上げていきました。

 

結果、目標どおりの150名を採用することができました。ところが、いざ採用して入社という段階になったときに、いろいろと問題が起こり始めました。当時の会社は宮城県にある研究所の敷地内に研修所をもっていたのですが、そこの定員が120名で入社式やその後の集合研修ができないということになり、急遽近隣のホテルを借りて対応することになりました。

 

その後も新入社員が入社後に行うことは例年と同じなのですが、とにかく人数規模が違ってくるとさまざまな問題が起きてくるのでした。そして入社数年後、一人前になって活躍が始まってくる時期になって、最大の問題が表れ始めました。2007年入社の新卒は他の年度に比べ使えないという声がいろいろな部署から聞こえてきたいのです。

 

その後いろいろと原因を探っていくと、採用した人物に問題があるのではなく、人数が増えてしまって、受入職場側が例年やっていたようなきめ細かい指導や教育ができずに、結果戦力化していないということでした。

 

やはり採用、特に新卒者については、景気や経営状況など短期的な視点であまり人数を変動させるべきではなく、会社の基幹職を担う人材として、一定数を毎年採用し続けていくことが重要だということに改めて気付かされました。よくベンチャーなどで急拡大した後に、人材面で問題が発生してしまうのと同じ構造です。

 

翌年の2008年入社も同じような規模で採用しましたが、リーマンショックで2009年入社以降はぐっと絞ったため、この問題が続くことはありませんでしたが、人事屋としてとても考えさせられた内容でした。

 

つづく…