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人事屋修行記(第78話)

採用担当

2003年の夏も終わりにさしかかった頃、課長から呼び出されました。「今度本社にCG(コーポレートガバナンス)推進センターという組織を作って、ガバナンスに関する仕組みづくりをすることになった。ついては、メンバーとしてAさんに白羽の矢が立った。異動は決定事項なので、抜けた後の対応の検討をよろしく頼む」という突然の話でした。

 

異動が決まった部下は、採用の仕事を続けて5年ほどになるので、JRする時期だということに異論はなかったのですが、問題は後任人事です。

 

当時人事係のメンバーは、前年に駐在員人事を担当していた主任が米国の統括会社に駐在した後、もう一人の主任に兼務してもらっており、その他のメンバーは、評価などを担当してもらっている女性と派遣社員だけでした。

 

 

とても残ったメンバーで採用業務すべてをまかなえる訳がありません。

 

異動は11月1日ということなので、何とかそれに間に合うように後任の担当者を探さなければなりません。2003年は前の年に引き続き、新入社員が人事労政課に配属されることになっており、前年に入社した新入社員同様、最初担当するトレーニング業務としては、給与計算を考えていました。

 

宮城や東京の人事メンバーを見渡しても、すぐに異動して採用を担当できそうな人は思い浮かびません「少々乱暴かも知れないけど、新人が入ってくるのであれば、今給与を担当している去年の新卒を玉突きで人事係に異動させ、採用を担当してもらっては?」とボクの頭にふっとアイデアが浮かびました。

 

 

早速課長へ相談すると、店主の意見も聞かずに異動を請合ってきた負い目もあるのか、二つ返事でOKが出ました。「でも2年目の彼女で大丈夫?」との課長からの確認には、「自分が係長の立場で全面的にフォローするので大丈夫です」とまったく根拠のない自信を持って言い切りました。

 

店主は、入社以来新卒採用の仕事を担当してみたいと思っていましたが、今まで繁忙期のお手伝いくらいしかやったことがありません。この人選を口実にいろいろ勉強しながら採用の仕事に携われると、これはラッキーと思いました。

 

担当者交代の1ヶ月前くらいから、引継ぎを進め11月1日からは、完全に担当交代です。ここに入社2年目の若手採用担当者が誕生し、係長である店主と二人三脚で、当社の採用業務のイチからの再構築と悪戦苦闘の実務推進がスタートするのでした。

 

つづく…