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IVYおじさんの創業日誌

評価調整会議

今週は月、火の2日間、クライアント企業の評価調整会議にオブザーブさせていただいた。こちらのクライアントは、昨年人事制度の見直しをお手伝いさせていただき、今年1月から導入した。なのではじめての評価である。

 

事業部、バックオフィス、マネージャークラスと3つのレイヤーに分けて各々2時間ずつ、各領域の部長と人事そして社長も出席。フルリモートの会社だが、はじめての、それも重要な会議なので、全員が対面で出席した。

 

今回設計した評価制度は、1次評価は絶対評価。各評価者が期間内の部下の行動を事実ベースで観察し、評価基準にあてはめ評価を行っていく。そして2次評価は相対評価。この相対評価の場が今回の調整会議である。

 

評価調整の目的は2つ。ひとつは評価者間の甘辛調整。評価基準をしっかりつくって研修しても、どうしても評価者によるバラつきは出てくる。それを補正していくのだ。そしてもうひとつは、複数の目で被評価者を評価していくことだ。人は社内においても立場や場面で行動が変わってくる。違った角度からチェックすることで、全体像が浮かび上がる。

 

こちらのクライアント企業では、これまで評価制度と呼べるカチッとした制度はなかった。なので、部長さんのなかでも評価をするのがはじめて、といった方も複数いた。

 

 

評価要素群

そんな状況での調整会議、どんな内容になるか人事部長と一緒に少々心配していたのだが、杞憂であった。かなり内容の濃い会議が行われていったのだ。

 

制度はベーシックなMBO達成度、能力評価、情意評価の3つの評価要素群を組合せ、等級によってそれぞれのウエイトを変化させるもの。各評価項目を評価点で埋めていくだけで素点が集計され、標語にも自動的に変換されるよう、Excelだが評価シートもつくっていただいた。

 

会議室のモニターに映し出されたのは、被評価者の評価要素群ごとの素点と評語。その一覧表をみんなでながめながら、評価要素群の点数を比較し、なぜこの人はこの点数になったのか?といった具体的な行動を確認していく議論になっていった。

 

コンピテンシー

そのなかでもっとも議論になったのは、能力評価であるコンピテンシーと、情意評価である企業理念にそった行動がとれているか?という2点であった。

 

店主がこれまで会社員時代に、何十回と参加してきた調整会議では、人そのもの同士の比較に終始し、AさんよりもBさんが高いのはおかしい的な会話がほとんどであった。

 

それが今回の会議では、実に評価要素群に沿った形で、被評価者の行動をとらえて、その行動をどのように見るか、評価していくか、といった議論が繰り広げられていったのだ。

 

メッセージ

そんな中で、部長のみなさんに腹落ち感を感じられたのは、最終的な評語が持つメッセージというフレーズであった。こちらも一般的な S、A、B、C、D の5段階である。評価のつねでどうしてもA評価に多く分布していく。

 

そこで参加者全員で確認したのは、「B評価はその等級として、期待どおり100%の結果を残した」ということ。「A評価はひとつ上位の等級として十分という結果」。そのようなメッセージが部下に伝わっても、上司のみなさんは「そのとおり」と思えるか?ということであった。

 

そのような視点で最終標語を見ていくと、必然的に評価結果はきびしい方へ調整されていく。

 

みんなで育てていく

会議全体を通して参加者の発言をうかがっていると、みなさん、他の部門のメンバーも含めて全員で、部下にいかに成長してもらうか、といった視点で意見を交わされていた。

 

恥ずかしい話ではあるが、店主の会社員時代など、自部門の利益代表では?と思うような発言の応酬で、まったく「どうすればもっと成長するか」といった視点での意見交換というのは、あまりなかった。

 

この視点での議論こそ、評価という制度を有効に機能させ、魂を入れてくれる運用方法である。今回が初回だが、これを数回繰り返していくことで、さらなるレベルアップが期待できる、とコンサルした立場として満足しながら家路についたのであった。