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IVYおじさんの創業日誌

目標達成へのこだわり

先日とあるクライアント企業の会議に参加していた。話が数値目標達成の手段となる施策の進捗を確認する場面になった。

 

各責任者が担当する領域の施策の進捗状況について突然報告を求められたのだが、数値を把握しておらず、報告できない責任者がいた。

 

当然トップからはきびしい指摘が入った。全社で目標数値の達成に血眼になっているときに、それを達成するための重要な施策の進捗状況に関心がないのである。

 

わが国で運用されている目標管理制度には主に3種類あるといわれている。①組織活性型、②人事評価型、③課題達成型と大別され、①、②はボトムアップ型であり、日本に目標管理制度が輸入され、当時の人事制度にフィットするよう独自の変化をしたものである。

 

一方で③課題達成型と呼ばれるものが、ドラッカーが提唱した目標管理制度である。いちばんの特徴は目標はトップダウンで全社経営計画の目標数値が各機能に割り振られ、連鎖していく。理論的には各個人全員が目標を達成すると、全社の経営計画も達成するようになっている。

 

 

全社から事業部、部、課、個人と目標数値はトップダウンで割り振られていくわけだが、その目標数値をどのような手段で達成するか、については、現場をいちばんよく知っている現場社員一人ひとりが考え、施策として提案し、上司と話し合って合意する。

 

この際、トップダウンで割り振られる目標数値を「結果系管理項目」と呼び、それを達成するための手段である施策の達成度をはかるための目標を「要因系の管理項目」と呼ぶ。

 

成人病予防のためのプログラムに置き換えるとわかりやすい。血圧や血糖値,γ-GPTなどの数値が結果系管理項目、その数値を維持改善するために運動をしたり、食事に気をつけたりするのが施策で、ウォーキングの距離や食事のカロリーなどが要因系の管理項目となる。

 

数値目標達成に対し、適切な施策が設定されていれば、施策の進捗を把握するために要因系の管理項目を日々しっかり達成することを積み上げていく先に結果系の管理項目である数値目標が達成されるのだ。

 

なので、日々や週次でのチェックは主に要因系の管理項目の進捗を追いかけていくことになる。ひと月の施策における計画を週単位、1日単位に細分化して計画に落とし込んで、それが毎日、毎週できているか、計画どおりに行っていない場合には、どんな阻害要因があり、どうやってリカバリーしていくのか、1年単位の大きな数値目標を施策に因数分解して実行していくのである。

 

ここでもっとも大事で、しかし多くのビジネスの現場で忘れられていることがある。部下と相談して設定した『施策とその目標を達成させる』ことは、上司のマネジメント行動、仕事そのものだと、いうことである。

 

多くの現場で、部下に目標を設定しっぱなしで、あとはまったく関心をもたず、半年後の評価面談でようやく目標の達成度を確認するという行動があたり前のように繰り返されている。

 

評価期間末の時点で部下の目標未達の状況を確認したとして、どうやってリカバリーするのであろう。すでにゲームオーバーである。上司の成果は部下の成果の集合体である。結果上司の成果も同様ということだ。

 

 

部下の目標を達成させるために、毎日、毎週目標の進捗を確認し、なにが課題なのか、部下に問いかけ、考えさせ、あるときには行動で示し、あるときには突き放し、なだめすかすなど、さまざまなコミュニケーションを通じて部下が腹落ちして目標を達成する行動をうながすのだ。

 

これこそマネジメント行動であり、マネージャー以上の仕事の本質である。そしてこの行動こそがOJTそのものであり、マネジメントの役割の中でもっとも大切な部下の育成なのである。

 

マネジメントたるもの、部下の目標達成に最大限の関心を払う必要があるのだ。