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人事屋修行記(第91話)

組合員新人事制度

2003年に管理職の人事制度を改定したのを受けて、人事企画では、組合員の人事制度改定に向けて、労使委員会を立ち上げ労使交渉を進めていました。2005年は、交渉スタートから2年が経ち、交渉も大詰めを迎え、執行部とはほぼ内容についての合意ができるレベルまできていました。

 

当時、組合員の人事制度は、スピード感を重視した合併時の整合によって、その時点の基本給額を是認し、現給保証した結果、職能資格制度にも関わらず、等級間で給与額の重なりが非常に大きくなり、極端な例では、2つ上の等級の最年少優秀者の給与額よりも下位等級で滞留年数が長い従業員の方が逆転する現象なども起きていました。

 

本来であれば、制度整合時に等級別の上限号数制、つまり中折れを導入し、等級ごとの基準内給料の上限を決め、その等級に留まる限り、給与が上がらないような仕組みを入れて、等級間の給与の重なりを最小限に食い止める必要があったのですが、整合時にはとにかく1社3制度の期間をなるべく短くして、融合融和を最優先にしたため、中折れ導入の議論は労使で平行線をたどったままとなってしまっていました。

 

 

労使で2年間かけて議論してきた新しい人事制度は、職能資格制度の基本的フレームはそのままに、能力主義の時代最適化をコンセプトに、組合員の上位等級である能力発揮ステージにおいては、毎期の評価結果に応じて、給与額がアップダウンする、より成果発揮と処遇の連動性を高める内容となっていました。

 

制度の納得性をより高める手段の一つとして、評価制度も大幅に改定し、評価項目と評価手順を整理し、2wayシステムにより評価期間開始、終了時にしっかり目標と結果について話し合いを行った結果にもとづき評価を行っていく仕組みに改める内容でした。

 

2005年の春先から夏前にかけて、労組執行部とは最後の詰めを行い、7月に労組による職場説明、討議を経て、いよいよ9月の組合大会にはかるはこびとなりました。執行部とは、細部におよぶまで議論を重ね、労組内での賛同を得やすいように、必要以上の説明資料を提供したり、妥協できる部分については、労組の意向をくんで譲歩したりもして何とか大会での組織決定までたどり着くことができました。

 

 

ところが、労組大会にはかってみたところ、大会の議事進行において意見や質問が相次ぎ、執行部もそれを納得させ、おさえることができず、新人事制度への改定議案は、採決中止となってしまいました。

 

給与が下がる可能性がある仕組みを担保するための評価制度について、しっかりとした実績や裏づけがないので、会社側の説明だけでは、これまでの評価場面の実績からいって、信用できないという意見が最も多く寄せられました。

 

今思い返すと、確かに実績がない状態で、こういう仕組みに変えるからだけでは、説得力が弱く、評価制度を先行導入し、ある程度実績を積んでから資格制度と給与制度を導入するという二段構えでいったほうがうまく行ったかもしれません。

 

結局人事制度の改定は、計画未定のまま先送りとなり、翌年2006年春に評価制度のみ導入されることとなりました。

 

つづく…