Cafe HOUKOKU-DOH

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人事屋修行記(第112話)

内定者懇親会

店主の前々職の会社は、自動車やオートバイの部品を作っている会社で、新卒採用においてはエンジニアとして機電系の学生をメインで採用していました。会社側はそんなに意図してはいませんでしたが、集まってくる学生は結果的にクルマやバイク好きがほとんどでした。

 

採用には苦労していましたが、それでも他業種の人事さんからは、クルマバイク好きに仕事の魅力を訴求できる会社であり、毎年一定数の母集団が確実に存在していて採用しやすくていいですね、と羨ましがられていました。

 

会社は2000年代前半から国内のオートバイレースチームにスポンサーとして参加し始め、その経済的効果が予想以上で、四輪向け部品の拡販に向け認知度を高めるため、国内最大の四輪車レース「GT500」へ参戦しているチームのメインスポンサーへ鞍替えしていきました。

 

四輪のレースは二輪とは比べ物にならないくらい観客数も多く、スポンサー企業やチームのオーナーなども知名度が高く、イベントとしてとても華やかなものでした。そんな中、自分の会社のロゴが入ったマシンが走る姿を見ると素直に感動したことを覚えています。

 

 

レースは、春から秋にかけて国内のレース場を転戦していくのですが、宮城県にもレース場があり、毎年7月に行われていました。地元でのレースに宮城の工場からは大応援団を繰り出し、社長以下も総出で応援に駆けつけ、ゴールのあるメインスタンド前は、おそろいのコーポレートカラーのブルーのTシャツを着た応援団で埋め尽くすほどでした。

 

そのような社内の盛り上がりの中、当時の採用担当が「この盛り上がりを内定者の動機付けに使えないか」と内定者懇親会の企画を出してきました。ボクはその冷静な社内状況や学生の志向性の分析と、タイムリーなアイデア出しに、即答でOKを出しました。

 

レース当日は、内定者に全国から仙台駅と仙台空港に集合してもらい、仙台駅からバスでピックアップ。空港の方は人数が少なかったので、店主が社有車で迎えに行きました。レース観戦前におそろいのTシャツとタオルを支給し、内定者ながら応援団の仲間入りです。

 

レース観戦の合間には、ジンギスカンのBBQで内定者同士懇親を深めつつ、応援団との一体感に包まれ、レースに盛り上がるという、会社へのロイヤリティを高めるには効果絶大なイベントとなりました。

 

共通の興味に関するイベント参加を通じて一体感を演出できたのは、とてもいいアプローチで当時の担当者のセンスにはあらためて関心させられました。

 

つづく…