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IVYおじさんの創業日誌

目標管理とマネジメント

今週はクライアント企業の1社で幹部研修イベントにオブザーブさせていただいた。なんと1週間という期間を使っての大規模な研修である。

 

「ビジョン・ミッション・ウィーク」と命名されたその研修の目的は、マネジメント力の向上であり、今年1年間かけてすすめてきた幹部研修の総仕上げである。

 

今セッションの主目的は、1月からはじまる新しい事業年度の事業計画について、社長から説明を受け、それに基づいて各事業部長、本部長、部長が自部門の計画を立てるとともに、その計画をどのようにしてマネージャー、メンバーの目標と実行計画にブレークダウンしていくのか、を準備することである。

 

情報のインプットとグループディスカッションを交互に繰り返してのセッションを拝見していて感じたのは、やはり「目標管理制度」に対する理解浸透のむずかしさ、であった。

 

 

わが国の大小さまざまな企業で行われている目標管理制度であるが、この制度をきちんと理解して、適切に運用することは実にむずかしい。

 

目標は全社の事業計画を起点に、上位組織の目標を下位組織が目的として設定し、分割され、連鎖していく。最終的にメンバー1人ひとりまでブレークダウンされ、理論的には全員が各自の目標を達成すると、全社の事業計画が達成されるように設定される。

 

このように目標はトップダウンで設定されるが、その目標をどのような施策で達成していくのかは、現場を最も理解しているメンバーが、最適な「手段」である施策を検討し、上司と話し合って決定し、実行していく。

 

ここがドラッカーのいう「目標と自己管理によるマネジメント」  “Management by Objectives and Self-Control” なのである。

 

いままで見てきた多くの企業では、目標は設定するものの、その後は部下任せ。そして半年後の評価者面談で、結果を確認して終わりである。このやり方では実は上司はその責任を果たしていないのである。

 

部下に目標を設定し、その実行計画について話し合って了解したら、「上司には部下のその目標を達成させる義務が生じる」のである。

 

そのためには、最低でも月に1回以上は、実行計画の進捗について確認し、計画どおりにすすんでいなければ、その原因を一緒に考え、リカバリー策を検討し実行していく。それでもうまく行かない場合には、実行計画そのものを検討し直し、差し替えるケースも出てくる。

 

 

こうした目標達成に向けた一連のPDCAサイクルを部下と一緒に行うことで、目標の達成と部下育成のOJTを同時に実現していくのである。

 

「責任」という面から考えるならば、部下には実行計画を計画どおり行う「実行責任」が発生する。その上で上司には部下が計画どおりに実行した結果に対して責任、つまり「結果責任」を負うのである。

 

この点への理解がないビジネスパーソンがとても多い。部下に自身の結果責任まで丸投げしてしまうので、目標が達成できないと部下を叱責したり、問い詰めたりといったパワハラが起きる。

 

部下が計画どおりに仕事を行っても「うまく行かない」とわかったら、上司自身の責任をまっとうすべく、部下が目標を達成できるように働きかけていくのが、真のマネジメントであり、部下育成なのである。

 

この目標管理の本質を、どのような方法でお伝えするのが効果的なのだろうか、と新たな気付きをいただいた研修オブザーブであった。