マネジメント研修
今週は火、水と2日間、クライアント企業のマネジメント研修に参加させていただいた。東京駅近辺の貸し会議室を借りて、マネージャークラスと部長クラスそれぞれ1日ずつの開催であった。
インハウス(自社開発)の研修メニューは1年間をかけて全4回を予定していて、その第2回目だ。
今回のアジェンダは、ズバリ「人材育成」。前回はマネジメントの役割について、時間軸と機能軸により4象限に分け解説した。そのなかでもっとも重要な役割として人材育成を位置づけ、説明した流れだ。
人材育成の基本的考え方からスタートして、傾聴などの育成に必要な基本的テクニックなど、必要な内容はすべて網羅されているすばらしい内容であった。
傾聴
そんな内容のなかでとくにいい内容だったのが「傾聴」であった。話を聞くことと傾聴の違いからはじまり、ロジャースの傾聴の三原則をていねいに解説し、その上で1on1のロールプレイまでついていた。
人材育成の基本は、OJTである。OJTを行ううえで重要になってくるのが、アサインした仕事や設定した目標の合意、納得と、業務のなかでチャレンジしている目標達成に向けた細やかなレビューとフォローである。それらを効果的に行うためには、傾聴のスキルによる話し合いだ。
聴く力
どこかの人事向けクラウドサービスの広告で「1on1あなたがやると取り調べ」などという川柳があったが、仕事における部下との面談のポイントはズバリ、「聴く力」である。
もともと管理職になった人材は、成果を出して活躍した結果として任用されているわけで、会話も流ちょうな人が多い。要するにおしゃべりが好きな人が多いのだ。なので余程気をつけていないと上司が一方的に話して時間が終わるなどということもよくある。
読者のみなさんも経験があると思うが、優秀な営業パーソンとの面談というのは、気がつくとこちらが上手にしゃべらされていて、気持ちよくすすむことがほとんどだ。要するに聴き上手なのである。
ここらへんの加減は部下との面談にも通じるところであり、いかに上手に部下にしゃべらせるか、「聴く力」がポイントとなってくる。
よく勘違いするパターンとしては、部下が面談で課題や困りごとを話した際、多くの上司はそれを解決しなければと受取り、必死に解決策を教えようとする。
一方で話をしている部下の方は、とくに解決することを望んでいるわけではなく、話を聴いて欲しい、自分の状況を理解して欲しいだけ、というパターンがおどろくほど多いのだ。
感情の理解
部下育成を含めたマネジメント力をしっかり身に付けようとすると、今回の研修でもそうだし、世の中にあまた出回っているマネジメントに関する書籍なども含め、マネジメントに関するテクニックの習得にフォーカスしてしまいがちだ。
テクニックは大事である。スポーツでも理論的に考えられたフォームを学び、身に付けることが上達への早道であることは疑う余地はない。
しかし、マネジメントだけでなく仕事というのは、すべて人を介して行われる。そこにはステークホルダーの数だけの「気持ち」が存在する。要は相手の感情にフォーカスすることがマネジメントの本質なのである。
店主は52歳のとき、養成講座に通い産業カウンセラーの資格を取得した。その際に仕事であっても「部下や同僚など仕事仲間にも感情がある」ことに気がついた。正確にいうとそれまで会社員をやってきた30年ちかく、感情があるということから目をそらしていたのかもしれない。
人は一人ひとり感情を持っている。人とコミュニケーションをとって行動を起こしてもらうためには、その人の気持ちを理解し、その上で適切なアプローチをとらないと、期待した行動はとってもらえないのである。
研修を聴きながらあらためてマネジメントの本質について、考えをさらに深めることができた2日間であった。