Cafe HOUKOKU-DOH

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IVYおじさんの創業日誌

手段の目的化

先日、以前情報交換会として会食させていただいたフリーランス仲間から、店主に相談させて欲しいとお願いされた。

 

その方は看護師、保健師の資格を持ち、臨床の現場を経験した後、企業の産業保健師へ転身し、現在は産業保健分野のコンサルタントとして活躍されている。

 

お会いした後、SNSなどで専門誌への執筆や研修講師として積極的に活躍しているお姿は拝見していたのだが、2年近くお会いしていなかったので、食事でもと考え連絡したところ、ちょうど連絡しようと考えていたとのことであった。

 

内容は、人事担当者と産業保健スタッフのチームワークづくりについて、ということであった。ちょうど会食でお会いしたときに一緒だったのが、店主が会社員時代に一緒に働いていた産業保健師で、退職後も続いているその関係性の良さにおどろかれ、話を聞きたいとのことであった。

 

人事担当者と産業保健スタッフのコミュニケーションがうまく行かず、産業保健体制を構築し、保健師を配置したにも関わらず、うまく機能せず、当初計画していた目的が達成できていない現場は多いとのことであった。

 

そのような課題の解決に向け、いろいろと意見を交換させていただいたのだが、店主がお話しした中でもっとも納得感があったのが、「人事の役割を共有し、目的の実現に向けて、お互いに協力していく」ことであったという。

 

これまでたくさんの人事の管理職や担当者に会ってきたが、人事の役割や目的、存在意義について、ハッキリと語った方はいなかったという。

 

 

店主は部長になったときに、自分なりに自身と職場、そして仕事の存在意義を明文化して共有していこうと考え、「人事の役割」として文章化し、その後ずっと使い続けている。

 

『事業計画達成に必要な人的資源を「質的」、「量的」側面から、タイムリーにマネジメントしていくこと』

 

すべての活動はこの役割をまっとうするためのものである、と部下や仲間、そして社内外のステークホルダーに話し続けているのである。

 

昭和型の人事パーソンが、現在も一定数存在していて、「人事のための人事」活動をひたむきに続けていることは、なんとなく知ってはいたが、その割合がそれほど多いとは、店主もおどろいた。人事の役割について明確な説明を聞いたことがないという。

 

よく「ビジネスは目的志向」でというフレーズを聞く。あたり前の話しなのだが、なにごとも実現したい目的があって、日々の活動はそれに向けた手段なのである。

 

ところが多くの現場で、いつの間にか手段が目的化してしまっている。提案資料をつくっているうちに、目的が提案すること、から資料をつくることにすり替わってしまっているのだ。

 

いそがしくて目の前のことに追われているとそうなってしまうのも理解はできる。しかしいそがしい時こそ、一旦立ち止まって「今やっている仕事の目的は?」と自問自答してみると、複雑に見えていた状況がシンプルに思えてきたりする。

 

これからもクライアントに向けてだけではなく、自分自身にも「目的は?」とつねに問いかけて行きたい。