ネットワーク
先週知人が主催する異業種交流会に呼ばれて参加させていただいた。19時から六本木のうどん懐石の個室である。土地勘のない店主は、ドキドキしながら日比谷線に乗り換えて会場へ向かった。
メンバーは店主を入れて8名。主催者以外はすべて初対面である。職業も年齢もバラバラ。弁護士、医師、ライブ配信コンサルタント、バイオプラスティック会社役員、投資顧問会社や生命保険会社、人材派遣会社の会社員などさまざま。こう見えて結構人見知りなので、職業を聞いただけで腰が引けていた。
実際に集まってきた方々は、主催者の知人友人だけにみなさんとても気さくで、初参加の店主にも気をつかっていただき、あっというまに楽しく3時間が過ぎたのであった。
「会社に勤めるようになると、社内とばかり付き合うようになり、会社以外のネットワークはほとんどない」といった話はむかしからよく聞く。店主もそうならないように、会社以外の付き合いを大切にしてきた。
しかし、独立してみて感じたのは、確かに会社以外のネットワークはとても大切なのだが、そのきっかけというのは、実は仕事でのつながりがほとんど、ということであった。
社外の付き合いというと、スクールや趣味、サークルなどで知り合うことをイメージすることも多いと思うが、起きている時間のほとんどを仕事に費やしている社会人は、仕事で知り合った人々とネットワークを築くことが多い。
今回の主催者とは、10年ほど前に元部下の紹介で人事企画の責任者という立場で訪問を受け、1時間ほど面談をしたことであった。
そのときの縁で、こんどまた一緒に仕事をしないか、とお声がけをいただき、また今回の異業種交流会にも誘っていただいたのだ。
店主は会社員時代、売り込みの営業であっても、時間を割いて1回は必ずあって話を聞くようにと先輩からアドバイスされたことがあった。いそがしいときは15分でもいいので、話を聞けと。どんな面白い情報を持っているかは、話を聞いてみないとわからないというのだ。
それを実践し続けてきた。それがきっかけで仕事を一緒にするようになったことも当然あったし、またその後、プライベートでもずっと付き合うようになった知人、友人も多い。
なにしろ起業して仕事をいただいた案件のうち、継続的にお手伝いさせていただいている2社は、そのように以前に一緒に仕事をしてきた方から声をかけていただいたのだ。
店主の会社員時代は、仕事柄発注者としての立場がほとんどであった。しかし店主はベンダーと顧客というように考えたことはなかった。つねに同じ目標に向かって一緒に働くビジネスパートナーとしてお付き合いしてきた。
なぜならば、そのような関係性で仕事をしていかないと、まずうまく行かない。目標をひとつにして共有し、それに向かって一緒に協力をしていくのは、組織としての基本中の基本である。
そんなスタンスで仕事をするビジネスパーソンが実は少ないと聞かされたときにはおどろいた。一方でそんな関係性でお付き合いしてきたからこそ、仕事以外でもずっと関係性が続いているのだと思う。
起業する、しないに関わらず、仕事を続けていくうえでネットワークはかけがえのない財産である。ネットワークを築きたいのであれば、社内外問わず関係者と真摯に向き合い仕事に取り組んでいくことなのだと感じさせられたのであった。