ハンドブック
店主は会社員時代からハンドブックという社員向けの解説書やマニュアルをたくさん作ってきた。人事制度ハンドブック、評価制度ハンドブック、マネジメントハンドブックなど制度系のものが多い。
これらハンドブックは、必ず印刷物として冊子でつくるようにしている。当然、冊子を配りつつ、電子データもPDFファイルなどで共有して、いざというときに手元になくても使えるようにしているのだが、基本は冊子配布だ。
コンサルタントとしてクライアント企業とお付き合いするようになってからも、そのスタンスは変わらず、あたらしく制度をつくったときだけでなく、なにかを社内に周知徹底したいときにもつくることをおススメしている。
クライアントからの電話
先日、クライアント企業の人事部長から電話をいただいた。毎週のように定例ミーティングを開催しているので、それ以外で電話がかかってくることはめずらしい。
話しを聴いてみると、あらたに採用した社員に対して人事制度の説明をする際に、ハンドブックを提示して説明をしたところ、「とてもわかりやすく、そしてとてもテンションの上がる人事制度ですね」と絶賛されたのだという。
このクライアント企業は、ここ1年半くらいの期間をかけて、イチからフルに人事制度を作り上げ、先月社員に制度説明とあたらしい各人の報酬額を通知した。その際に作ったのがこの人事制度ハンドブックであった。
このハンドブック、その人事部長が自らの想いを込めて作り上げたモノであった。それだけにあらたに入ってきた社員にほめられ、それで大喜びで店主に共有の電話をかけてきたのだ。
刷りモノの効果
先に述べたようにハンドブックは冊子にこだわっている。冊子にするメリットはなんといっても、圧倒的な存在感である。電子ファイルでは味わえない創りあげられた感じや、手触り、匂いなどの存在感である。
それでこそ会社の担当者が制度とそれを通して社員に対する「こうあってほしい」といった想いが伝わるのだ。
また、書棚や机の上など引出しの奥にしまい込んでしまわない限り、社員の目の届くところに顔をだしてくれるなど、電子ファイルと違って、能動的に存在感をアピールしてくれる。
また、作った側からすると、実物を手にすることや刷って配ることで、とても達成感を得られるのである。
足跡を残す
当然電子ファイルもメリットは大きい。更新や差し替えが容易であったり、配る手間などくらべものにならない。検索性にも優れている。
機械的、事務的に情報を伝達するだけならば、生産性からいっても電子データである。
しかしこのデジタルの時代だからこそアナログな冊子を配ることで、活字データだけではない、会社や人事部門などの想いなどを伝えることができるのだ。
裏表紙に刻まれた更新年月日の数がその仕事の足跡を残してくれるのである。