Cafe HOUKOKU-DOH

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人事屋修行記(第15話)

メモ

現場応援も1ヶ月ほどで終わり、本格的に人事の仕事をこなしていくようになりました。店主の最初の担当業務は、勤怠の日時処理、エラーチェック、それからパートさんの面接、派遣社員、パートさんの受入説明、高卒採用の学校訪問と1年目の新入社員から幅広く、多岐にわたり、ボリュームも多いものでした。

 

当時は、バブル景気の絶頂期で、工場も忙しく、製造部門の人手は常に不足していて、それを残業でカバーしている状態でした。ですので、派遣社員もパートさんも常時募集という状態で、毎週新聞広告にチラシを入れ、それを見て来る方を面接して、特に問題がなさそうであれば、その場で即採用、「ところで、明日からこられますか?」という正に中小企業のような感じでした。

 

面接をするようにいわれたとき、「新入社員がやっていいのですか?」と当然聞きましたが、教育係の先輩に一言、「大丈夫、パートさんだから」といわれ、最初の1、2回一緒にやっただけであとは一人でやることになりました。どの仕事もそんな感じで、最初の1回は、説明を受けながら一緒について回りますが、2回目以降は全部一人でやるようにいわれました。

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人事のメンバーはみなさん忙しく、とても一緒にお願いするどころか、わからないことを質問するのもはばかられるような感じです。ですので、せめて同じ質問を繰り返さないで済むように教えられたことはすぐにメモをとるように心がけました。今でも当時のメモが残っていますが、自分で見ても本当に必死だったのだと思わず笑ってしまうような書きぶりです。

 

工場人事の仕事は、先に挙げたような各自の主担当業務のほかに、総務も兼務していたので会社の顔としての窓口業務や社内の各部門の社員の人々の相談やお願いごと、それから当時は秘書がいませんでしたので、役員室の秘書業務も人事全員で担当していました。

 

自分の担当業務をデスクでやっていると、いろいろ電話が掛かってきて必要な部門へ転送しますし、お客様も来られていろいろな用件をお願いされます。それを対応していると社員の方から、申請書の用紙をお願いされたり、規定の解釈で相談を受けたりもします。そんなことをしている最中に役員が来られて、来週の出張のホテルの予約をお願いされたりもします。

 

それらが、一つひとつ順番に前の用件が終わってからくればいいのですが、大抵は、同時多発的に3つも4つも一度に来られて、それも他のメンバーがいないときに限ってやってくるのです。

 

一つの用件を聞いて理解して、わかりましたといって、対応しようとすると、次のお願いがきます。そのお願いを聞き終わる頃には、前の用件はすっかり忘れていたりします。まして、入社早々ですので、相手が話している単語自体、初めて聞く単語も多くて、まるで外国語を聞いているようです。

 

このように複数の案件を平行して進めていくのに一番気をつけていたのは、とくかく「いわれたことはその場でメモする」ということでした。仕事の基本としては、「すぐにその場でやる」か「メモする」のどちらかですが、店主の場合、工場人事という職場の特殊性から一度に3つ4つの用件をお願いされるのは当たり前でしたので、メモをとるクセをつけました。

 

今振返ってみても、メモをとらなかったせいで失敗したことがたくさんあり、とにかくメモとやることとスケジュールを管理するための手帳が手放せなくなりました。それまで学生時代は、何度手帳を買っても三日坊主だったのですが、仕事では、手帳なしでは一日も過ごすことはできません。

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店主は新入社員のときからシステム手帳を愛用しています。中身の差し替えだけで年の変わり目でも2冊持たなくていいのと、自分の使いやすいように中身をカスタマイズできるのが気に入っています。

 

そして、新入社員のときから今までの手帳の中身は30年分すべて保存してあります。自分の仕事を棚卸ししてみるときや、計画を立てるときに、1年前の同じ時期に何をしていたかって、意外と役に立つものです。もちろんこの修行記を書くのにもとても役に立っています。

 

みなさんも自分なりの情報管理方法を工夫してみてはいかがでしょう。

 

つづく…