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人事屋修行記(第73話)

新入社員

合併で間接部門の効率化を進めていた関係もあり、人事部門にはしばらく新入社員が入っていませんでした。中途採用では1997年に2名入りましたが、新卒は、店主の入社以降、1998年に本社総務に1名入ったきりで、店主は入社以降ずっと総務、人事の若手で過ごしてきていました。

 

2002年は、事務系で女性を1人採用したということで、正式配属を検討する際に、どの部門に配属するかという話になりました。この年は、先ほどの合併効果創出のための間接スリム化の余波で、事務系職場はどこも新卒受入れに消極的で、調整の結果、人事に配属することになりました。

 

当時の課長から、人事に1名新卒を配属するのにどこがいいと相談され、迷わず給与に配属すべきと伝え、そのとおり人事労政課給与係に配属することになりました。

 

店主は、自分の経験から新入社員には、入社後早い段階で事務職のスキルを身につける必要があり、それには仕事の中で決まったことを繰り返し訓練することで、そのスキルが身につくと考えていました。

 

 

その訓練には給与計算という仕事は一番適しており、何にもまして、仕事を手順どおり行わないと、すぐに計算間違いという形で明らかになるので、仕事への緊張感や姿勢を身につけるうえでも非常に効果的だと考えていました。

 

半年間の現場実習を終え10月1日に給与係へ配属されてきた新人は、まだ大学生といっても十分通用するようなとても初々しい感じのする女性でした。新人の教育はしっかりとした内容で教えないと取り返しのつかないことになると考えていた我々は、店主の方で新人教育カリキュラムを作って実際に教えた方がいいということで、隣の係の新人にも関わらず、カリキュラムを作って隣の係長のに、忙しいでしょうからうちで引き受けますなどといって、うちの係で担当することにしてしまいました。

 

工場の受入れが終わった後、新人教育メニューに沿って組織や分掌、人事の役割など基本的なことを座学で勉強してもらいました。給与の仕事は各拠点の総務担当者とのやり取りが欠かせませんので、座学のあとは、各拠点にあいさつ回りです。宮城地区はその日のうちに済ませ、本社と栃木の研究所は早速出張を組んで1泊2日で回りました。

 

本社では、店主の入社時の課長だった定年間近かの元上司に人事の心得を講義してもらい、最後のスクール門下生となりました。本社では、夜に人事企画のメンバーと一緒に食事まで付き合っていただき、とても有意義な時間(店主にとって)を過ごすことができたようです。

 

 

翌日は、東京から宇都宮へ移動して研究所にいく予定にしていました。東京から新幹線に乗ったのですが、前の晩少々飲みすぎたようで、新幹線に乗る時点では、まだボウっとしていたのか、うっかり宇都宮に止まらない新幹線に乗ってしまいました。

 

東京駅を発車する時点ではまったく気づかず、大宮を出てからの社内アナウンスを何気なく聞いていたら、「次の停車駅は郡山」というではありませんか。聞き間違いであって欲しいと心の中でお願いしながら乗っていると、列車は無常にも宇都宮駅を軽快に通過していきました。

 

カッコつけて新人を引率して、各拠点をあいさつ回りしていた店主がこのざまです。新人に宇都宮に止まらない、間違った列車に乗ってしまったことを説明するときの情けなさは、いまだに忘れられません。こんな先輩でこれからにさぞかし不安を感じさせてしまったということを思い、このときばかりは本当に落ち込みました。

 

我々2人は、郡山駅で上りの新幹線に乗り換えて宇都宮へ向かいました。さすがにその後の新幹線はとても気まずかったのを覚えています。

 

つづく…