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人事屋修行記(第16話)

仕事の流れを整える

最初に覚えた毎日のルーチンは、勤怠の日時処理でした。91年当時、既にタイムレコーダーは既に磁気カード(今のICチップ入りの前のタイプで、ネームプレート兼用は変わりません)が導入されていました。

 

毎朝出勤すると、システムのマシン室においてあるタイムレコーダーの打刻データを読んでいるフロッピーディスクドライブの中から、8インチのフロッピーを取り出して新しいものと交換します。それをホストコンピューターにつながっているドライブに差し込んで、職場にある経理課と総務課で共用していた2台のホスト用端末を操作して、打刻データを読み込んで、日時処理をします。処理自体は今とほぼ変わりなく10分程度で終わって、エラーリストが出てきます。

 

エラーリストというのは、何らかの理由で打刻データが朝夕いずれか、もしくは両方ない人やダブってある人などがリストに印字されてきます。そのリストにある人すべてのエラーをつぶせば作業は終了というものです。

 

まず、エラーリストは、所属コード順に出てきます。日時処理は毎日処理しますので、基本的にエラーが出てくるのは前日の勤怠となります。前の日に日付順、所属コード順に並べ替えていた勤怠届の申請用紙に、並べ替えた後に申請された勤怠届のうち、昨日以前の日付のものを拾って、並べてある勤怠届の中に順番を考えながら差し込んでいきます。

 

次に勤怠届の内容をエラーリストに転記して行き、すべて転記が終わったら、エラーリストを元に、端末の画面を操作してエラーを修正してきます。そうしてエラーをすべて修すれば、作業終了なのですが、これが簡単に終わりません。まず、エラーに対して勤怠届がすべてでていることはほとんどなく、勤怠届が出てないために修正できないエラーがたくさんあります。その場合、該当の従業員に内容を確認して勤怠届を出してもらいます。

 

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前任の先輩などは、電話をかけて確認して、勤怠届を出すようお願いしていましたが、当時のボクにはとてもそんなことできません。いくら5百人規模とはいっても顔と名前まったくわかりませんし、部門もわかりません。そこでエラーが出ていて勤怠届がない人には、定型のフォームをつくって手紙で連絡するようにしました。それでも出てこないときや内容がわからないときは、その人がいる現場や職場まで行って確認しなければなりません。

 

だんだん仕事に慣れてくると、全体の流れがわかるようになってきました。この仕事は要するにタイムカードをきちんと打ってもらうか、事前に勤怠届を出してもらうかしていれば、究極的には作業がゼロになる仕事です。そのためには、どうすればいいかという視点で作業や関わる情報の流れや人を見てみました。

 

ポイントは2つで、有休、出張の届出は事前に出してもらうようにして事前に登録しておくこと、打ち忘れの常習者がいるので、その人には、注意を促して忘れないように徹底することでした。この2つを現場に行って直接本人に根気強くお願いすることを続けていきました。

 

また、作業のスピードを短縮するために、転記作業の前にどのような順番で勤怠届をならべておけば作業のスピードが上がるかなどを考えて準備をするようにしていました。

 

どんな仕事にも言えることですが、作業をする前に、全体の流れをつかんで、論理的にこことここで処理を行えば、結果はこうなる、ただし、例外的にこういう場合がこのくらいの確立で起こり得るので、それに対してはこういうチェックでモレを防ぐ、といったようなシュミレーションを行って作業に取り掛かると、効率も上がりますし、ミスも減らすことができます。

 

よく「仕事は段取り八分」なんていいますけど、まさにそうだと思います。でもそれ以上にできるだけ作業にかかる時間を短くして、もっと面白い仕事をしたり、早く帰ったりしたかったですので。

 

おかげで最初半日かかっていた日時処理は、1年くらいたつと早いときは3~40分で終わらせることができるようになりました。

 

勤怠の仕事を通じて事務処理の基本を身に着けることができ、大変貴重な経験をさせてもらったと今でも感謝しています。

 

つづく…