Cafe HOUKOKU-DOH

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IVYおじさんの創業日誌

料理長

この半年間くらい、横浜の自宅と仙台の実家を2、3週間に1回の割合で往復している。順調に行って片道5時間程度なので、ほぼ毎回途中のPAでランチ休憩をとる。

 

店主の好みはSAにある「ナイフとフォーク」マークのレストランより、PAにある「コーヒーカップ」マークのフードコートである。なんといってもコスパと速さにすぐれているからだ。

 

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同じような環境にあるフードコートなのだが、その味は場所によって雲泥の差がある。店主のお気に入りは、東北道の宇都宮ICの先にある矢板PA(下り)と常磐道のつくばと水戸の中間あたりにある美野里PA(下り)である。

 

www.driveplaza.com

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東北道常磐道PAにあるフードコートは、大型のものではなく、基本的に社食や学食のような、定食と麺類を主としたこじんまりとしたものである。どのPAも見た目はそんなに変わらないのだが、前述の2ヶ所とほかでは、歴然とした差がある。食べログなら3.0と3.6~3.7程度の感じだ。

 

基本的にどこの店も厨房で働いているのは、お国言葉で応対してくれる、気さくな地元の人々っていう感じで、料理人という感じではない。

 

では、いったい何が違うのか?店主の想像なのだが、ワケアリ料理長をたまたま採用したのだ思う。都会の一流レストランで修行をして、有名店の料理長を任されるほどの腕の職人が、なんらかの理由で、流れ流れてたどり着いたのが、PAのフードコートなのではないか。

 

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そういった店には共通した特徴がある。なにか1種類の料理だけでなく、どの料理も平均点を上回っているということである。そばやうどんといったシンプルなメニューは、差別化がむずかしい。一方で、シンプルなだけあって基本的な部分を手抜きしたりするとすぐにわかってしまう。

 

店主的には、せめてそばやうどんくらいは、フツーレベルの味をキープしてほしいと思うのだが、これができている店は意外と少ないのである。

 

また、メニューのラインナップを見てみると、その土地の素材をうまく活かしたメニューを出していたり、定食でもちょっと変わったメニューをそろえ、他店との差別化をはかっていたりするのだ。

 

なぜ店主がそう考えるのか。それは社会人時代にさかのぼる。隣接した地域に4つの工場があり、それぞれに社員食堂を設置していた。工場というのは、だいたい土地の安い地方に建てることが多く、コスト競争が激しい部品メーカーなどでは常識である。

 

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当然、工場のまわりに飲食店やコンビニなどはなく、必然的に社員食堂が必須の福利厚生施設となる。社員食堂は、設備などは会社で準備するものの、その運営については、専門の給食業者に委託することが多い。

 

給食業者は、専業でやっているパターンが多いのだが、厨房で働く人々は、地元からパートタイムなどで雇うパターンがほとんどだ。給食事業における人件費比率は高く、できるだけ人件費を抑えたい。またフルタイムでの仕事量がないので、パートタイマーをうまく活用する必要がある。

 

社員食堂の委託先は数年に一度、複数社に声がけしてコンペを行う。これは、一旦契約すると長期間売上げが保障されるビジネスモデルに対し、緊張感を持たせるためだが、委託業者の入れ替えが発生する場合がある。

 

そんなとき、業者は入れ替わるのだが、厨房のメンバーは料理長も含めそのまま転籍するパターンが多い。業者間での利害が一致するので、メンバーはそのまま残るのだ。そのなかでいちばん重要なのは、料理長だというのだ。

 

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また、同じ業者に委託していても、料理長が違う別の工場の社員食堂は、味が微妙に違う。同じ食材やレシピを使っているのにである。やはり、仕込みや味付けの最終調整などに腕の差が出るのであろう。

 

こうしてみると、料理長とは企業における課長の役割をを担っているといえる。そこに必要なのは、専門性+マネジメント力である。料理の味を担保する専門性と部下であるパートタイマーをとおしておいしい食事という付加価値を届けているのだ。

 

社員に満足される社員食堂には、委託業者もさることながら、高い専門性+マネジメント力を兼ね備えた料理長を招聘することが重要ということであろう。