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人事屋修行記(第76話)

 デンソー出張

人事企画ブロックが立ち上がり、本社の引越しもひと段落した後、ようやく本腰を入れて人事制度の見直し作業が始まりました。まずは現状分析として、自社の人事制度をおさらいし、前年2001年の第7次中期計画の末期に行った従業員意識調査の結果を徹底的に分析し、課題を整理していきました。

 

その作業にだいたいのメドが付いた頃、次のステップとして、会社の立ち位置を確認する作業に移ります。当時は世界的に自動車業界再編の雰囲気が盛り上がっていて、OEMメーカーも上位数社しか生き残っていけないのではという噂もまことしやかに流れていました。

 

会社も今に通じるメガサプライヤーとの世界競争を視野に入れて、ホンダグループ以外のサプライヤーと比較して、どのようなポジショニングなのかを確認すべきとの結論になりました。

 

会社の商品カテゴリーから見て、数社をピックアップしました。日産系からカルソニックカンセイ(現マレリ)さん、トヨタ系からは愛三工業さんと当然、デンソーさんということになりました。

 

 

当時、ピックアップした各社さんとは、人事分野においては結構頻繁なお付き合いがあり、デンソーさんは先方から春闘前に賃金モデルの交換を毎年お願いされていました。そんなつながりもあり、人事制度についての情報交換をお願いしたところ、快諾いただき、早速刈谷市にある本社に伺うことになりました。

 

人事企画ブロックが担当なのですが、スケジュールがあわず、ボクが人事企画課長と同行することになりました。

 

本社に到着すると10階建てくらいの本社ビルがありました。現在の本社ビルから比べるとひと回りも小さいのですが、それでも工場なしの本社部門のみのビルとしてはとても大きく、ホンダさんの青山ビルよりもずいぶん大きな感じがしました。

 

守衛所で受付をする際にも、行列ができていて、来訪者の多さに圧倒されましたが、ビルの1階フロアに入ると、そこは待合スペースと、会議室やパーテーションで仕切られた打合せスペースが、学校の体育館の2倍ほどのスペース一面に広がっていました。

 

 

待合スペースの正面には、受付でいただいた番号が映し出される大きな電光掲示板が掲げられ、担当者が出てくると番号が出て、呼ばれるという仕組みです。まるで、大学病院か総合病院の待合所のような感じでした。

 

大きめの会議室に案内され、会議スタートです。応対してくださったのは、人事課長と係長の2人でした。お二人ともパリッとした知的な感じが漂うビジネスパーソンといった感じで、ホンダグループにはないタイプの方でした。

 

第2のサプライズは、デンソーさんの人事制度の説明資料が、当社の会社案内のように、きちんと印刷物として冊子になっていたことでした。自社の人事制度を説明するための資料が冊子になっているということは、いかに制度内容を他の会社から訪ねられる頻度が高いかを表していることとあわせて、そのような情報提供自体を自社の義務と捉えているリーディングカンパニーとしての自負のようなものが伝わってきました。

 

制度の内容もさることながら、デンソーさんの社会的責任に対するポリシーを勉強させられた出張でした。

 

つづく…