スーツのポケット
アイビーやトラッドでのスーツやジャケットの着こなしのルールとして、上着のポケットにはモノはなにも入れない、というものがある。モノを入れるとせっかくのジャケットのシルエットがくずれてしまうからである。
いわんやパンツのポケットもしかりである。パンパンにふくらんだ長財布をパンツの後ろのポケットにさすなど論外である。
とはいえ、ビジネスシーンでスーツやジャケットを着るときにポケットにモノを一切入れないというのも非現実的である。昔はブリーフケースなどのビジネスバックに持ち物を入れて歩いたりもした。
しかし、最近のテクノロジーの進化は、この持ち物を劇的に減らしてくれた。ここ最近はスマホさえ持って歩けば、ほとんどのことはこなしてしまう。
これはスーツのシルエットをくずしたくないコダワリ屋さんには願ってもない朗報である。クレジットカードまで入ってしまうので、ホント現金オンリーの店に立ち寄らない限り、問題は出ないのである。
店主は、さすがにスマホだけだと心配なので、スマホと財布を持っている。財布はマネークリップにして、かさばらないようにしている。
このマネークリップ、カードが3枚入るのだが、カードもスマホに取り込まれていくので、どんどん減っていき、いまは免許証とマイナンバーカードが入っている。これらも数年のうちにスマホに取り込まれるようになるので、マネークリップもカード入れもないタイプが出てくるかもしれない。
このテクノロジーの進化は、スーツを基本どおりに美しく着こなすには、とても歓迎すべきことなのだ。
最近はスーツやジャケットに袖をとおすことはめったになくなったが、今度着る際には、ポケットを空にしてシルエットを楽しみたいと思う。