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人事屋修行記(第104話)

現場実習

2007年の新卒は以前にも書いたとおり150名近い人数を採用しました。採用人数を増やすということは、毎年繰り返しているオペレーションにも少なからず影響が出てきます。

 

人事管轄の仕事であれば自分たちで工夫をすればいいのですが、他部門にも関係のある場合、いろいろと調整やお願いが発生してきますでの、なかなか自分たちの考えているとおりには行きません。

 

当時働いていた自動車部品メーカーでは新卒には理系、文系問わず現場実習を行っていました。やはりメーカーですから、モノづくりの現場は将来にわたって会社で仕事をしていく上ですべての基本であり、現場を知らなければいい仕事はできないという考え方に基づき行っていました。

 

ただ、3ヶ月程度という短期間に現場の製造ラインの要員が百名前後の規模で変動するのは、受け入れる現場にとっても大変な負担です。宮城にある工場の生産要員は約千数百名でしたので、7~8%の要員が変動することになります。

 

 

それまでは何とか受け入れてくれていましたが、2007年は10%を超え、さすがに泣きが入りました。そこで、実習生を2グループに分け半分ずつ実習を行うとともに、隣町にある子会社でも実施することとなりました。子会社での実習は初めてであり、さまざまな課題が出てきたものの、それらを根気よく潰しこんで行き、ようやく実習はスタートしました。

 

そんな中で懸案になったのが、実習期間中の給与明細書を誰がいつのタイミングで渡すか、ということでした。通常であれば実習先の課長、係長が実習の状況などをフォローしながら渡してもらうのですが、子会社はそこまでお願いするわけには行きません。

 

また、子会社に実習に出したっきり誰もフォローに行かない、というのも新卒に対しては少々配慮が足りないということで、給与厚生課長である店主が担当することになりました。

 

子会社での実習は三交替制での実施でした。各シフトの所定就業時間帯の前後に食堂に集まってもらい、顔色など様子を見ながらフォローがてら給与明細書を手渡ししていきます。

 

 

給与支給日当日はまず夜勤明けのシフトにあわせ、朝7時前の集合からスタートし、遅番スタート前の14時過ぎに2回目、引き続き早番の終了後と3回に分けて対応していきました。

 

4月の1回目はみんなつらそうでしたが、月を重ねるごとに作業服の着こなしも板についてきて、実習が終わる頃にはすっかり会社の一員といった感じになっていくから不思議なものです。

 

それでも、給与明細書をわざわざ渡しに来てくれたと感じていた新卒も多く、笑顔でありがとうございますとお礼を言われると、他人に頼まずやっぱり自分が来てよかったと思うとともに、給与計算という仕事の原点のようなものを改めて実感するのでした。

 

子会社も含めた関係者のみなさんのおかげで、無事150名の現場実習は大きな問題もなく、終えることができたのでした。

 

つづく…