稼働日変更
東日本大震災では、電力不足が深刻となり、地震の直後は計画停電などが実施されました。その後、計画停電は行われなくなったものの、関東地方は夏場に向けて電力不足が予想され、政府から各業界団体へ節電への協力要請が行われました。自動車業界においては、7月から9月の3ヶ月間、土日の休日を木金に振り替えることが一斉に行われました。
7月最初の土日以降、休日を2日前倒しで休むカレンダーを設定し直し、9月から10月にかけては週1日の法定休日が確保できるよう、木曜日から日曜日まで4連休にし、年間所定労働日数の帳尻はお盆休みで調整しました。
人事としての対応は、カレンダーの設定や勤怠システムの変更など大したことはなかったのですが、仕事をするという観点や日常生活といった観点ではとても大きな変化でした。
自動車業界全体で稼働日をシフトさせたので、顧客や取引先とは、同じカレンダーで仕事ができます。一方で業界以外の外部企業との仕事のやり取りという面では、双方の休みにはコミュニケーションが取れませんので、打合せや電話などができるのは、実質的に週に3日だけということになります。
メールでのやり取りも休み前の水曜日に投げたメールが一発で決着がつけば3日後には仕事が進みますが、返事に対して追加のリアクションを求めると、結局相手先の休みが明ける月曜日まで待たなくてはなりません。このときは海外とのやり取り以上のテンポの悪さを痛感しました。
土日勤務は通勤電車やクルマの渋滞など、平日と違って確かに楽なのですが、一方で月曜から金曜まで働くことになっているオフィスワーカーにとっては、意外と不便なこともありました。
まず、昼食です。当時西新宿のオフィスビルに勤務していたのでが、ビジネスパーソン向け飲食店のほとんどが土日はお休みです。また、ビルの空調なども土日はオプションで別料金であり、経費抑制の観点から所定労働時間帯のみで、夏場だっただけに汗かきの店主にとってこれはつらかったです。
当時は単身赴任で、カミさんは働いていました。木金の休みに自宅に帰省しても、日中は一人で留守番です。帰ってもやることもなく結局ほとんど帰省はしませんでした。
社外の友人たちとも当然ながら休みがあいません。毎年夏に行っていた他社の人事仲間との温泉旅行もこれまで十数年行ってきたなかで、この年だけは泣く泣く不参加となってしまいました。
朝の身支度の時間帯につけているテレビ番組や、晩酌のときのニュース、週末の休みに欠かさず見たり聴いたりしている番組などすべて変ってしまい、いまひとつリズムに乗れない自分がいて、いま思うと人間というのはやはり変化ということにストレスを感じるようです。
土日に働くお仕事の人々への見方を変えさせられた出来事であり、いい経験でしたが、もう二度と同じ経験はしなくていいと、とても強く思っています。
つづく…