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人事屋修行記(第134話)

部長昇進

2012年4月発足した人事企画室は、店主を含めて室長以下4名、フィリピン現法を閉めて帰ってきた50代後半の室長と、課長クラスの専門職、それからベテランの派遣女性というメンバーでした。

 

室長は、人事畑一筋の方で、合併後は当時の人事企画室メンバーで、制度整合などを中核メンバーとして活躍してきました。その後総務部長なども務めたその道のエキスパートで、人事系の部長クラスとしての経験や知見は社内トップクラスでした。

 

人事企画室は新宿の本社オフィスにあり、そこには上司である管理本部長も常駐しています。当然日々のコミュニケーションも密に行われ、仕事もスムーズに運ぶはずでした。店主などはそのためにわずか10ヶ月で栃木から呼び戻されたのですから。

 

しかし、管理本部長と人事企画室長のそりが合わず、2人はお互いに口もきかない状態でした。どうもフィリピンの現法をクローズするにあたり、そのやり方についてかなりぶつかったようで、それがしこりになっていたようです。

 

 

管理本部長の肝いりでスタートした人事企画室ですから、本部長がオーダーしたいテーマは山ほどありました。それらテーマの指示に関しては、本部長は必要最低限のものを店主に対して直接オーダーしてくるようになりました。

 

本来であれば、長期ビジョンを掲げた上で具体的な中期計画に落とした上で、なので今年度はこのテーマを進める、ということになるのですが、中長期の方向性についてのすり合わせは一切行われず、単年度のテーマが単発で降りてくる有り様でした。

 

本部長に呼ばれてテーマについて報告や議論して席に帰ると、室長からは「赤坂さんは気に入られていいよね」といわれる始末。結局2人は最後まで直接会話することはなかったように記憶しています。

 

そんな中、年が明けて2012年4月の組織人事を検討していく中で、本部長から室長の内示をもらいました。前々職会社は室と部は同じレイヤーで室長は部長と同じ責任権限です。

 

現在の室長は部長級の資格等級で、店主は課長級。年令もひと回りほど上です。現室長は解任後もそのまま人事企画に残るとのこと。

 

資格も逆転していて、特段なにかミスした訳でもないのに、責任者交代の人事です。これにはさすがに悩みました。しかし本部長がそのような状況を聞き入れる訳もありません。現室長も責任者として上司と話もできないような中途半端な状況は苦痛だったようで、店主が室長になることに賛成してくれました。

 

前々職の4月1日付け人事異動は親会社のそれと同期して、2月下旬の取締役会で決議され、プレスリリースされます。店主の名前も日経新聞の人事異動欄に載った訳ですが、これを誰よりも喜んでくれたのが、父親でした。

 

給料も上がらない責任だけが増えた昇進で、先輩の現室長にも気を使わなければならない立場で、まったく乗り気ではなかったのですが、心の底から喜んでくれた父親の様子を見て、ちょっとは親孝行になったと考え、面倒な室長としてのマネジメントが増えた役割に前向きに取り組もうと思ったのでした。

 

つづく…