納付書
今週になって県税事務所と市の法人税務課からあいついで法人住民税の納付書が届いた。法人住民税は、3月の半ばにeLTAXですでに納めていたので、行き違いで届いたのかと思い、念のため封筒を開けてみた。
すると3枚複写の納付書が入っていた。内容をよく見てみるとなんと法人税額がいずれも0円となっていた。
推測するにこれは、すでに納付済みなので納付額は0円であるにも関わらず、納付書は機械的に印字され、かつ郵送料を支払って郵送されてきたのである。
なんというムダであろう。印字の時点で納付額が0円とわかっているのであれば、なぜ「納付書を発行は必要ない」と判断して、発行しないというプログラム設定にしないのであろうか。
しかもこれはわたしたちの税金である。お役所仕事とはよくいったものであるが、その象徴的な仕事である。
しかも納付書には「電子納税が便利です!」とeLTAXの利用をすすめるパンフレットも同封されていた。あきれるどころか笑ってしまう。
以前、DXについていろいろ調べているときにノートにメモった定義なので、出所は忘れたが、一言にデジタル化にはその目的によって、アプローチと効果は違ったものになるそうだ。
- デジタイゼーション(Digitization):フローのある部分のアナログ情報をデジタル化
- デジタライゼーション(Digitalization):プロセス全体をデジタル化することであらたな付加価値を創造
- デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation):その結果として社会的な影響を生み出す
今回の件でいえば、納付をeLTAXで行うことは、デジタイゼーションである。しかし納付のみをネットで行っても、そのほかのコミュニケーションはあいかわらず紙媒体であり、プロセス全体がデジタル化されていない。
ちなみにネットでの納税も地方税と国税では別である。また、地方自治体と源泉徴収義務者である企業とのコミュニケーションという観点でみると、店主自身の住民税についても紙ベースだ。
DXで社会的な影響を生み出すのであれば、たとえば企業から源泉徴収義務者の役割を取り払って、デジタルを駆使して各個人に確定申告をさせたり、健保や年金の保険料の算定基礎となっている基準を所得税や住民税と同じデータを利用できるようにして、企業の社保に関する業務もなくすなどを目指して欲しい。
わが国の労働生産性が低い原因のひとつには、この紙ベースでの業務フローを前提とした税や社保の手続きを企業に押し付けていることも大きいのではないか、と思う。
ぜひ将来に向けて、これに限らずDXで行政の抜本的な効率化をすすめて欲しいものである。