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人事屋修行記(第138話)

突発性難聴

2012年は部長に昇進して1年目。当然、昇格審査チャレンジの声が掛かるかと気になるところです。一方で隣の総務部長もまだ課長級の等級で、こちらは昇格審査チャレンジの年令ギリギリ。店主は当時45才とチャレンジには年令的にまだまだ余裕でした。

 

今年は総務部長を優先させるか、それとも2人同時にチャレンジさせるのか。同じ部門から同時にチャレンジさせると、万が一、片方がNGだった場合ダメージが大きいので、1人に絞り受験年度をずらすのが通例でした。

 

まあ、総務部長は年令的にもギリギリだし、同じ管理本部から2人一緒にというのは考えにくいので、今年は声が掛からないだろうと考えていました。その場合でも当然、部長をさせていながら昇格審査を受けさせないことについては、上司の管理本部長からひと言、あいさつ程度はあるだろうと考えていました。

 

当時、実務には携わっていなかったものの、毎年の大体のスケジュールなどは頭に入っています。役員会で候補者を最終確定させ、本人に受験の指示をするであろう期間が終わっても上司から一向になんの話しもありません。

 

 

隣の総務部長が今年は受験をするとがなかばオープンになっても結局店主には話はありませんでした。店主は、総務部長を先に受けさせるという判断には、人事という仕事を長らくやってきたので事情は理解するし、そこにはまったく異論はありません。でもせめてひと言くらい上司からあいさつがあってもいいのでは、と毎日悶々とした日々を送っていました。

 

そうして半月くらい経ったある日、栃木の研究所に出張した日の夜に宇都宮で、人事の管理職で食事会をすることになりました。飲むのはきらいではありませんから、楽しみにしながら会場へ入ったのですが、なんとなく体調がすぐれません。飛行機に乗ったときに気圧の関係で耳がつまった感じがし、耳抜きをしますが、それがうまくできない感じなのです。

 

最初はそれでも飲んでいるうちによくなるか、と思い飲んでいたのですが、だんだん聞こえなくなる程度がひどくなり、そうなると気持ちも落ち着かなくなってきて、お酒どころでありません。その日は飲み会を途中でキャンセルし、帰ってきました。

 

翌日耳鼻科に行って診てもらうと、確かに右耳の聴力がさがっていて、突発性難聴との診察。薬を処方されて様子を見ることに。原因としては、精神的なストレスによるものとのことでした。聴力自体は順調に回復して、しばらくしてもとどおりになりました。

 

店主はそれまで、自分は誰よりも肉体的にはハードワークに耐えられ、精神的にはストレスに強いという、まったく根拠のない自信を持っていました。ストレスによって体に症状が出たという事実に、その自信を根底から崩されたことがとてもショックでした。

 

と同時に働く上でのストレスについて、自分だけではなく、周囲も含めて関心をもつようになったきっかけでもありました。

 

つづく…