先日、ニュースの特集で「もしスマホがなくて、待ち合わせができますか」というテーマで特集をやっていた。中身はお決まりのものごころついたころから携帯電話があるという若いキャスターと、店主と同世代の昭和オジサンとで、世代間のギャップを浮かび上がらせるという内容だ。
若いキャスターは、スマホがなかったら絶対に会えないと最初からあきらめており、一方昭和のオジサンは公衆電話や駅頭の伝言板などの話を持ち出し、だからあのころはドラマチックだったのだと懐かしむというお決まりのパターン。
そんな番組を見ながら頭に浮かんだのは、スマホの登場によっていろいろなものがその役目を取って代わられたということであった。あたり前に毎日使っているが、よく思い返してみると、たくさんのものがスマホに置き換わっているのだ。
音楽の聴き方を変えたのはソニーのウォークマンだといわれているが、スマホはアナログレコードとCDとカセットテープとそれらのプレーヤーに代わってわれわれに音楽を届けてくれているし、カーコンポの代わりもしてくれている。まもなくカーナビの役目もこなしてくれるだろう。
音声をやり取りするという機能でいえば、完全に電話機と無線機を駆逐した。文字情報ならFAXや郵便配送網と置き換わったし、映像情報でいえば、フィルムカメラやVTRカメラとそれらのフィルムやテープなどは、趣味のものとなってしまった。
情報の管理や整理といった分野はいちばんの得意分野でノートやメモ帳、手帳に住所録や電話帳、そして計算機に時計などは、機能的にはスマホがあれば事足りてしまう。最近ではPCにも取って代わっていて、イマドキの新入社員は逆にPCが使えないと聞く。
現在進行形で置き換わっているモノもある。定期券はかなりの割合で置き換わっているであろうし、切符も券売機の台数をみると歴然である。これからさらに進むであろう分野がなんといっても現金と財布だ。
わが国はカード決済の仕組みが複雑で店側が払う手数料が高く、また端末の設置など小規模の小売店はハードルが高かったが、QRコード決済などのPAYアプリは、そのハードルをかなり低くしたと思う。
最新技術でスマホに通信機能を搭載するより、画面でQRコードを読み込む方法を取り入れ、ゲームのルールを変えられ、戦況がイッキに逆転するいつものパターンである。
店主はPayPayをメイン、Suicaをサブでもっはら使っているが、PayPayは利用額に応じて翌月のキャッシュバックが決まるので、なるべくPayPayを使うようにしている。先日住民税納付書が自宅に届いたが、銀行口座から手数料なしでチャージして、その場で1年分払ったら、なんと3千円近くポイントがついた。
自宅に届いた納付書のバーコードを読み込んで、ボタンを1回押すだけである。近所のコンビニまで出かけて行って、現金を下ろして払う、といった一連の動作がすべて省略され、現金も触らずにである。
わが国のキャッシュレス普及の遅れは、先ほどの手数料の問題以外に、治安がよくて、キャッシュディスペンサーが至る所にあって、かつ強盗にも襲われないという点も見逃せないと思う。海外だったらキャッシュを持ち歩いたり、店に釣銭を準備したりというのはリスクでしかないという感覚であろう。
置き換わりつつあるものはまだある。IDカードや会員カードである。とくに小売店などのポイントカードは、持ち歩くだけでたいへんな枚数になってしまうので、はやくデフォルトになってほしい。そしてマイナンバーカードがスマホに入って保険証にもなれば、ホントに財布は小銭入れだけでよくなるかもしれない。
最後に店主としては結構ハードルが高いのは、書籍と新聞である。しかしながらここも棲み分けがすすんでいくのであろう。店主の息子など、どうでもいい本は電子書籍、じっくり読みたい本は紙といっていた。
これからスマホなど電子端末にどこまで置き換えがすすんでいくのだろうか。