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人事屋修行記(第30話)

面接

配属直後の工場人事での担当業務のひとつに面接がありました。新入社員に面接!って思うかも知れませんが、そこらへんが当時の会社のおおらかなところでもあり、任せて育てる雰囲気の職場でもありました。

 

実は面接のお相手は、契約社員。当時はバブル末期で日本全国が異常な好景気に包まれていました。二輪車も国内で大型バイクがブームとなり、川崎工場は増産に次ぐ増産でうれしい悲鳴を上げていました。

 

製造ラインは、交替勤務と毎日4時間の計画残業、月3回の休日出勤でフル稼働。生産要員は派遣社員をお願いしても集まらず、あわせて契約社員と称する近所のおばさまをターゲットにしたパートさん(フルタイムですけどこう呼んでいました)を常時募集していました。

 

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毎週金曜日の新聞にパートやアルバイトなどの募集がいろいろ掲載される折込チラシがあり、それに毎週募集広告を載せていました。「誰にでもできる簡単なお仕事です」そもそも募集広告にこう書くこと自体、あやしい職場だと言っているようなものですが、結構反響はあり、月曜日になると、チラシを持参しておばさまたちが面接にやってきました。

 

守衛所で取り次いでもらうと、食堂へ案内されますので、そこで面接がスタートです。あいさつをして、住所を見て通勤方法を聞き、通勤に無理がないか確認します。あとは、今までの職歴などを聞いて、会社勤めの経験があればまずOKです。ここまで会話をしてみて、印象としておかしいところがなければ、採否を判断します。その間、約1~2分です。

 

採用と判断した時点で、「それで、いつから働けますか?」と切り出し、そこからなるべく早く来てもらう交渉が始まります。おばさまたちもまさか、即採用とは思ってもいないので、心の準備が欲しいらしく、来週からとか来月からというのですが、こちらとしては、ネコの手も借りたい状況なので、基本は明日から来てもらうという線で説得します。

 

出社日が決まったら、後は労働条件の説明をひと通り行い、出社する際の注意事項や準備してもらうものなどを説明し、不明な点などの質問に答えて終了となります。ここまで基本15~20分です。

 

ちなみに不採用と判断した場合には、さすがに1~2分で面接終了というわけにはいきませんので、いかにも面接らしい質問をしながら時間をかけ、それでも10分以内には終了です。不採用の場合には、結果は後から連絡するとして、郵送で不採用の通知を送ります。

 

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このような面接を多いときだと1日に5人以上もしたりします。基本的にアポなしでくることが多いので、忙しい時期だと結構しんどかったりもするのですが、生産要員の確保が会社として最優先事項なので、そうも言っていられません。忙しい時期はパートさんの面接は、工場人事のメンバー全員でフォローしながら対応できる人がやるような感じでまわしていました。

 

「面接」というと、正規従業員の中途採用や学生に対する新卒採用の面接を思い浮かべてしまいます。どんな仕事でもそうですが、「目的は何か」をはっきりさせると、目的達成のための手段がおのずと明確になってきます。

 

パートさんの面接などそのいい例で、目的は短期契約の生産要員として、適正があるかを判断すればいいので、言い換えれば、直接雇用するネガティブチェックさえできればいいと割り切っていました。仮に見誤りがあったとしても3ヶ月の契約満了までの辛抱であり、その可能性との費用対効果の判断だと思います。

 

今思い返すと、そういうコスト意識をOJTで体に覚えさせてもらった担当業務でした。

 

つづく…