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IVYおじさんの創業日誌

年末調整アプリ

先週末カミさんが職場で年末調整の申告をするようにいわれ、店主にヘルプを求めてきた。話を聴くと今年から紙での申告から国税庁が展開している年末調整アプリで申告することになったそうなのだが、職場での評判は惨憺たるもので、いちばん若手でITにも明るいメンバーでも「これは苦労しますね」といっていたのを聞いて、早々に自分でやるのはあきらめてきたのだという。

 

話しには聞いていて、このBlogでも紹介したのでが、実際には触ったことはなかった。そこで週末にチャレンジしてみることにした。アプリはPC版とスマホ版があったが、仕事用のPCに余計なアプリを入れるのがイヤだったので、スマホでやってみることにした。

 

事前に勤め先から配られた通達文書やマニュアルなどに目をとおすと、アプリの機能をフル活用した保険料控除証明書を電子データで取得して一切紙を使わない方式から、いままでどおりすべてを紙の申告書でやり取りする方式まで5種類くらいの方式のどれを選んでもいいとしていた。移行期の混乱を避けるための苦肉の策という感じが伝わてくる。

 

保険料控除証明書を電子データで取得する方法は、2とおりあり、1つはマイナポータル連携といって、マイナポータルを活用して控除証明書等の必要書類のデータを一括取得し、申告書の該当項目にも自動入力してくれる方法である。

 

もう1つは、マイナンバーカードを利用しない控除証明書電子閲覧サービスというもので、これは各保険会社ごとに発行手続きを自ら行う必要があるという。

www.nta.go.jp

 

マイナポータルを使った方が一括で取得できて便利そうにも見えるのだが、実際に手続き方法やサイトなどの評判を調べてみると、手続き完了までに数日かかるようで、デジタルのメリットがない。2つ目も各社ごとに手続きをする必要があるので、断念した。結局アプリは使うものの、証明書は紙で添付して提出という方法で行くことに。

 

さっそくアプリを起動して質問形式で受けられる控除を選んでくれる機能からスタートである。受けられる控除が決まると申告書の作成画面に遷移する。前年の申告書データをインポートできる機能もあるが、今回がはじめてなので、控除申告書を選んで作成を選択する。

www.youtube.com

まず基本情報の入力画面に申告者の情報を入力する。基本情報は各申告書に共通なので、この画面で1回入力するだけでいいので助かる。その後、IDとパスワードを設定するのだが、ここでいうIDは源泉徴収票の受給者番号につながる、会社が任意で設定できる番号なので、きちんと指示をする必要がありそうだ。

 

つぎに「給与支払者の情報の入力」を入力する。電子ファイルを会社が用意してインポートする機能もついているが、この操作を社員全員に実行させるのは至難の業だ。一方で画面から入力することもできるが、任意とはいえ法人番号なども入力する画面になっているので、社員がフリーズしてしまう可能性も低くはない。

 

ここまでを無事通過すると、各控除申告書の入力がはじまる。保険料控除申告書については、控除証明書を電子データで準備し、インポートすると自動的に反映され、入力の手間が省ける。インポートしなくても、画面からの入力は紙の申告書に書き込むのと難易度は変わらない。

 

扶養控除申告書、基礎控除申告書、住宅取得控除申告書とすべての申告書作成に対応しており、各々の入力は質問形式で設定されているので、紙の申告書を前にして、どこを埋めればいいのか悩む必要はなく、ここらへんの設計は評価できそうだ。また本人の収入金額から所得金額を自動で計算してくれる。このような仕組みはアプリならではで、非常に便利である。

 

昨今の税制改正で年末調整の仕組みは結構複雑になってきた。基礎控除の金額があがったかわりに本人の所得金額要件での判定が必要になったり、控除対象配偶者の判定条件や配偶者特別控除の適用にも、本人の所得金額が大きくかかわるようになった。またその間を埋めるように、所得金額調整控除なども新設され、紙の申告書も以前と比べると相当複雑になっている。

www.youtube.com

 

また、住宅取得控除申告書については同じように電子証明書を取り込むことで、必要な入力事項が自動的にセットされるので、この機能についてもありがたい。

 

申告書の入力がすべて終わると、申告書を保存し電子ファイルで出力する。データや紙の申告書の出力方法は3種類。すべて電子ファイルで完結させる場合には、ここで電子署名を付与する。控除証明書のみを紙で提出する場合には、出力ファイルにパスワードをかけて作成する。どちらもZIPファイルで申告書がまとめて出力されるので、あとは会社の指示にしたがってアップロードもしくはメールで送ればいい。

 

書面に印刷して提出する方法も選択できるので、申告書の作成のみに利用することも可能である。

 

年調アプリを使ってみた感想としては、ネックが大きく3つ。

  • 給与の支払者情報のインポートもしくは入力はもっと簡単にできないか
  • 控除証明書取得のハードルをもっと低くして、誰でも、すぐにできるようにならないか
  • 電子証明書付与の事前準備のハードルがもっと低くならないか

今回はスマホだったが、PCだとファイルのアップロードなど操作がもっと簡単である可能性はあるが、上記3つの点がもっと簡単になるとクライアントさんにも勧めやすくなりそうである。来年のアップデートを期待したい。

 

■年末調整に係る控除告作成アプリ操作マニュアル

https://www.nta.go.jp/users/gensen/nenmatsu/pdf/manual_smartphone.pdf