資料の段階
1つのテーマに沿って企画書を作成していく工程にも、資料の段階がある。この資料の段階を理解しながら作り込みをしていくと、目的別に効率的な資料の使いまわしと、作成ができるのである。
企画テーマの規模にもよるが、1人で担当するレベルのテーマの場合、資料の段階は以下の4つに大別できる。ちなみに社内における企画テーマの検討、提案、実行を例にあげているので、社外向けとは違う前提である。
- 関係者意見聴取フェーズ
- 部門内コンセンサスフェーズ
- 社内決裁フェーズ
- 関係者説明フェーズ
一つひとつのフェーズごとに目的とポイントを見ていくことにしよう。
1.関係者意見聴取フェーズ
上司と企画テーマの「目的、結論、ストーリー」について、方向性をにぎったら、まず説明時間から逆算して枚数を決めることは以前に述べた。その上で自分なりに説明のストーリーを組みたててみて、そのストーリーを説明するのにもっとも効果的なスライドごとにいいたいことを決める。
そうして自分なりに資料が完成したら、まず企画テーマの関係者に時間をもらって資料を説明して、意見や感想などなんでもいいので、フィードバックをもらうのである。
この打合せには2つの効果がある。ひとつは純粋に自分が考えている企画テーマについて、関係部門という違った視点からの意見をもらえる。やはり立場が違えば見える景色も違うので、気がつかない点などのアドバイスももらえる可能性大である。
2つ目は付帯効果ともいうべきもので、事前に自分たちが考えているテーマを説明することで、相談してもらって意見を尊重してくれたという気持ちが生まれる。巻き込み効果により実行フェースになったときに協力を得られやすくなるのだ。
この方法を会社員時代の会社では、「フロントローディング」と呼んで、仕事のすすめ方として大々的に推奨していた。
2.部門内コンセンサスフェーズ
関係者からさまざまなアドバイスをもらったら、そのなかで自分が必要と感じたものは企画書に織り込んでいく。一方でもらったアドバイスが今回のテーマにはあわないと考えたら、アドバイスをくれた人には、その理由や考え方を合わせてフィードバックしていこう。
こうして関係者からもらったアドバイスを入れてブラッシュアップされた企画書については、つぎに自部門内でコンセンサスを得るために、上司に確認してもらう前にぜひ同僚や先輩など身内に説明をして、アドバイスをもらうようにしたい。
これは、確認してもらうの意味もあるのだが、それ以上に周囲をこの企画テーマに巻き込むために必要なのだ。人は基本的に「変わる」ことをきらう。ともすると近い人が抵抗勢力になってしまうこともしばしばだ。それを事前に説明して意見をもらうというプロセスを踏むことで、未然に防ぐのだ。
次回は、残りの2つを考えていくことにしよう。