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人事屋修行記(第122話)

企画業務

人事課長を外れ、企画業務の専任になったわけですが、正直いってどのように進めていけばいいのかさっぱりわかりませんでした。

 

それまでの店主は、入社以来ずっと人事労務の実務担当として仕事をしてきました。自分で長期の計画を立てなくとも、実務での各々の仕事のしめ切りがあるので、それにしたがっていれば、自然と業務計画ができあがっていました。

 

これからは、自分でテーマとゴールを決めて、それを上司と握り、それをベースに中期、年間の計画を立てて、さらに四半期、月度、週次というようにブレークダウンしていく必要が出てきました。

 

というように書くと、最初からできていたようですが、最初は年間の計画のみでスタートしていて、それだと計画どおりに進まないことがわかってだんだんと改善していったのでした。

 

ここでの一番のポイントはやはり、テーマとゴールを上司と握るときに、しっかりとイメージをあわせておくことでした。

 

このレベルの話し合いは、内容がとても抽象的であり、同じ単語を使っていてもお互いに考えている内容が違いことが往々としておきがちです。一つひとつの単語の解釈を噛み砕きながら、確認していく作業が身についていった時期だったように感じます。

 

 

また、握った後にもテーマを企画書としてまとめる前に、ポイントとなるコンセプトや基本的な考え方、肝となるシミュレーションの前提条件やその結果を踏まえての方針の修正など、各パーツパーツ単位で短時間のミーティングを何度も積み重ね、お互いの認識をあわせていく作業も欠かせません。

 

ときどき、テーマについて時間をかけて完璧なレベルの資料にまとめ上げてから、はじめて上司に報告して意見を求める人がいますが、この手の進め方をしている人でうまく行っているのを見たことがありません。

 

前提条件の認識が合っていなければ、そもそもシミュレーションすべてがムダになりますし、上司も時間を空けて話をすると、前回までの議論の内容を忘れているものです。

 

内容を細かく刻み、時間を空けずに何度も報告、議論を繰り返すことで、上司の頭の中にも強く印象が残りますし、議論の中で新たなアイデアなどが出てくることもしばしばであり、このような機会を数多く持つことは、メリットがとても多いものです。

 

おおむね各パーツができあがってきたところで、最後に組み立ての作業に入ります。はじめてテーマを聞く人でも、内容が自然と入ってくるようにストーリー性を持たせるように工夫してきました。

 

企画書はほぼパワーポイントを使用していたので、各スライドごとにそのスライドで伝えたいメッセージを短い文章にして必ず入れます。

 

そして企画書全体ができあがったところで、そのメッセージのみを抜き出してならべ、それを読んだだけで企画全体の骨子が伝わるようにしてきました。

 

企画書の資料作りって熱中するとだんだん面白くなってきて、やっているうちにアレもコレも入れようって感じになってしまい、結果できあがってみると、さてこの資料でなにを伝えたかったのかわからない、なんてことがよくおきます。

 

スライドで伝えたいメッセージがまとまらない資料は、そもそも不要なものということになります。また、逆に各スライドのメッセージのみで、まずはストーリーを構成し、そのメッセージを理解してもらうためには、どんな資料を準備して張り付ければいいか、という進め方が一番効率的でもあります。

 

仕事の進め方、資料の作り方など、いままで経験したことのない業務に向き合いながら、試行錯誤を繰り返して自分なりのやり方を模索している時期でした。この経験が後にステージがあがって取り組む仕事に、たいへん大切な経験であったと感じています。

 

つづく…