人事の宿命
先日以前勤めていた会社から株主総会の招集通知が届いた。会社員時代に10%の奨励金が出ていたので、せっせと積み立てた持株会から引き継いだ株式がすこし残っていたためだ。
同封されていた招集通知をめくっていくと、なつかしいメンバーのお名前や会社の状況がていねいに説明されている。さすがガバナンスやIRに力を入れている会社だけあって、とても親切である。
メインのBS、PLをみてビックリ。売上高957億円に対し営業利益が266億円となっている。営業利益率は驚異の28%。決算発表はスルーしていただけに驚きの数字である。
どおりで配当もたくさん入っていたハズである。1株あたり年間60円で総還元性向は42%となっている。
人事としての実績
店主はこの企業に4年ほど在籍していた。人事戦略部やグローバルHR推進室の責任者を担当させてもらっていた。
大手メーカーのグループ会社から独立し、政策投資銀行の支援をあおぎながら、当時の東証1部に上場してまもない時期に縁があって入社した。
人事部長を担当して欲しいとのオファーで入社し、人事戦略部長時代に入社後3年をかけて人事制度を大幅にリニューアルしたのであった。
その後も経営陣のオーダーで、これまでに前例のないような施策や取組み、時代を先取りしたようなものを手探りをしながらなんとか対応してきた。
店主自身としては、幅広く経営陣のニーズに応え、戦略を描きながらスピード感は若干遅いながらも着実にやってきたと振返っている。
業績トレンド
招集通知には、財務諸表などの計算書類のほかに、主要な業績数値の推移をわかりやすく表しているページもあった。
なにげなく眺めていると、店主が在籍していた時期までが業績トレンドの底で、退職後から急激にカーブがあがっているのだ。そして今期の計画は、大台の売上高1千億円を目指しているという。
勝手にお手柄
この業績推移を見て、ひとりでよろこんだ。店主が手掛けてきた人事制度見直しをはじめとした各種施策が間違っていないことが、この業績という最終結果で証明されたのである。
人事制度や施策が直接的に業績に反映されることはない。しかし、そんなにまちがった制度や施策を導入していないことは事実として認めてもいいと考えている。
人事の仕事は、目に見えてすぐに結果が出ることはほとんどない。なのでこのような振返りは自身でしっかりと行い、いい結果は素直に評価を受け入れるべきだと考えている。
だれもほめてくれないので、自分で自分をほめるのである。これでつぎにつながる活力がチャージされれば、それでいいのである。