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IVYおじさんの創業日誌

人・組織課題

マネジメントの定義のひとつに「経営資源であるヒト・モノ・カネを効率的に活用し、組織の成果をあげる」というものがある。3つの経営資源のなかでももっとも対応がむずかしいのが「ヒト」である。

 

モノやカネは目に見えるし、その価値の増減も基本的に数値で把握することができる。価値の増減を数値で把握することで、その現実に対し合理的な思考で意思決定し、施策を打っていくことができる。

 

合理的な思考を行うにあたって、人々はその知識が足りないと感じると、学習をして知識を習得し、それを実務に活かしていくという、これまた合理的な行動をとるのである。

 

部長のつぶやき

先日、あるクライアント企業のライン部門の管理職とお話をする機会があった。食事をしながらのフランクな場でもあり、日々現場でご苦労されている様子がよくわかるようなお話をおききすることができた。

 

 

聴けば中途採用で配属された新入社員の方が、うまく立ち上がらずに困っているという。部門の業績が好調で、管理職の方々も本業で大忙しの中、新人の教育に多くの時間をとられているそうだ。

 

施策先行

これは人事コンサルタントを生業とする店主としては、見過ごすことができない課題と思い、くわしくお話を聴かせてもらうと、「〇〇の教育を施したのだが、〇〇ができない」といった施策先行の内容であった。

 

そこで、「〇〇ができない、というお話ですが、現場で実際にどんな不具合や困りごとがおきているのですか?」、「〇〇の場面で新人の方はどんな行動をとられていますか?」、「お客様からなにかクレームはきていますか?」といった事実や行動ベースで具体的な内容を深掘りさせていただいた。

 

名誉のために付け加えておくと、このような施策先行の対応というのは、こちらのクライアント企業に限ったことではない。というより、人事部門も含め多くの現場で日々繰り広げられている光景である。

 

課題抽出

経営資源の効率的活用という観点から考えるならば、モノやカネへの対応のように、まずは課題を整理することからスタートしなければならない。課題とは、あるべきレベル(水準)と現状レベルのギャップ(差)である。

 

 

その課題を抽出するにあたり、ヒトを対象にする場合に気をつけなければならないのは、「行動」という具体的な事実をベースに考えていくことである。行動の裏側にはヒトの「感情」が存在する。行動を見ながら感情にまで思いをめぐらせる必要がある。

 

行動ベース

カネの課題抽出であれば、財務分析をしない人はいないであろう。同じようにモノの課題抽出であれは、さまざまな品質検査や性能評価、生産工程も含めた科学的な分析を行うのが常識だ。

 

ところが対象がヒトになった瞬間、多くの人々はそれまでの経験をベースに、ヒトをひとつの型にはめ込んで一方的に課題を決めつけ、そして施策までイッキに決定してしまう。

 

結果その施策の多くが、的外れなものになってしまい、やらされている当事者もまったく腹落ちがせず、マネジメントサイドも効果が上がらないのは、部下のやる気がないからだ!と双方にとって不幸な結果となるのだ。

 

専門性

ここで本来登場するのが、人事部門であり、人事コンサルタントである。メーカーのようにモノづくりに多くの機能が必要な組織では、モノづくりの課題への対応は、その専門組織である、品質管理部門や生産技術部門、開発部門などが生産部門と協力し、各々の専門性を活かして課題解決をはかる。

 

同様に職場のヒト、組織の課題に対しては、ヒトと日々対峙しているマネジメントと人事部門が協力し、人事部門がその専門性を発揮して、現場で起きている課題を特定して打ち手を提案し、マネジメントと協力して施策を実施して解決をはかるというのが、合理的といえる。

 

まずは相談

職場のマネジメントで困りごとがあったら、まずは人事部門に相談してみることである。人事部門がなかったり、経験値が浅くてあまり専門性が高くない場合、店主のようなコンサルタントへ相談してみることを社内に提案したり、まずは現場主導で相談してみることである。

 

会社によっては、規模感から人事の専門家を雇えないようなケースもたくさんある。イマドキは副業などで自身の専門性を提供しようとする人々も増えてきた。

 

このような専門性を有効活用して、職場におけるヒトの課題を解決し、本業でパフォーマンスを最大化できる組織にしていくことこそが、マネジメントの役割なのである。