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人事屋修行記(第72話)

異なる視点

2002年4月に新宿の本社に人事企画グループが立ち上がった訳ですが、そもそも人事領域の人材は限られています。またそれまで人事企画にいたメンバーはまもなく定年を予定している方々を除いては、企画と人材開発へ異動していきました。やはり実務をしっかり回す部隊も必要です。

 

「せっかく新しい会社の人事制度を考えていくのだから、若い人の感性でやっていくべきであり、それには戦力の補充も必要」と役員室も考えてくれ、開発本部から中堅メンバーを1人ローテーションしてくれることになりました。

 

それまでの総務、人事はそのメンバーのほとんどが総務、人事一筋といった人ばかりで、他の部門からローテーションされてきたことは、店主は入社して以降、記憶にありません。

 

いったい開発からどんな優秀な人がきてくれるのか、また開発出身の人は技術系の思考回路なのでうまくやっていけるのかと、店主は期待と不安に胸をふくらませていました。

 

 

宮城の工場に転勤後、本社に始めて出張に行くと、早速異動してきた彼を紹介され、お互いにあいさつをしました。初対面の印象はがっちりとした体格とハキハキとした感じのしゃべり方で仕事ができそうで、かつ少々気が短そうで怒らしたらコワイ感じの人でした。

 

仕事が終わりそれじゃ食事でもということになると、昼間の印象とはうってかわって、一層ノリがよくなり、話も面白く、飲みっぷりも豪快な一緒に食事をしていてとても楽しいと感じる人でした。

 

店主の元上司の下にきて、新宿勤務で、お酒が好きであれば、人事企画でもきっとうまく行くに違いないと感じながら、その日に新幹線で帰らなければならない自分が少々さびしく感じたのを覚えています。

 

人事の仕事は、従業員を相手にするだけあって、取扱いや考え方がコロコロ変わるようではうまくありません。なので、どうしても前例を重んじる傾向があります。一方で、何事も新しいことを始めるときや、刻々と変わる世の中にあわせて行くためには、新たな視点でPDCAを回していく必要があります。

 

 

新しくきた彼は、何事も前例にとらわれることなく、自分の視点で様々なことを考え、はっきりと意見をいう人でした。いろいろな打合せのなかでも、何も遠慮することなく、いつも一番初めに発言をして、そこから議論がスタートしていました。

 

我々の集団はいつも同じメンバーで人事のなかだけにいた連中のみで仕事をすることに慣れていましたので、彼の参加はとても刺激になり、新たな視点を教えられることもしばしばでした。また、とにかく店主は特に気があって、かなりの回数、歌舞伎町界隈を付き合っていただきました。

 

結局、3年間人事企画にいて、役職者の人事制度と組合員の評価制度を作り上げ、その豊富な経験を買われて営業へ異動となりました。その後も活躍し、四輪事業企画部長にまで出世して行きました。

 

組織の活性化は、異なる視点や意見のぶつかり合いから生まれてくるものなのだということを教えられたとても貴重な経験でした。

 

つづく…