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人事屋修行記(第56話)

運用内規

本社での最初の仕事は、運用内規集の作成でした。合併以降、整合作業を通じて就業規則の細かい解釈や運用方法について、一つひとつ決め、それを運用内規という形で作成し、その都度各拠点の人事担当者に説明し配布してきました。

 

しかし、配布してしばらくたつと、内規があったことも忘れられ、内規自体はどこかへいってしまったり、担当者の机の中にしまわれたりと、まったく共有できていな状態でした。

 

結果、その時々で決めた運用と違う勝手な判断がなされてしまい、拠点ごとに同じ規定にもかかわらず運用結果が違ってしまったということが度々起こっていました。

 

拠点での判断の際には、それが最適だと考えて決めているのでしょうが、従業員の取扱いというものは、それまでの積み重ねであったり、そもそもの規定を作ったときの思想や考え方であるとか、ベースとなる人事ビジョンといったものも踏まえて決めていかなければなりません。

 

なので運用内規といった形で文章にしっかり残し、全社で共有して判断基準の統一をしていく必要がありました。特に合併直後ということもあり、放っておくと旧会社ごとの運用判断になってしまい、いつまでたってもひとつの会社にならないことが、容易に想像できました。

 

 

運用内規は、今後も新しい判断などをした場合には、随時更新をして発行していくこととし、全拠点分の運用内規集を5センチのキングジムファイルにすべての内規をコピーして、労働協約の項目順にファイリングし、巻頭には目次と更新履歴を記入していくページを入れました。

 

ちょうど新日本法規出版の「わかりやすい労働基準法の手引き」で行われていた加除式のメンテナンス方法を参考にして、どの拠点の運用内規も常に最新版管理ができて、人事の担当者も管理職も常に運用内規を手元において仕事をしていただき、全社で同じ運用判断ができる仕組みを作り上げました。

 

紙ベースの運用内規集は、2011年の規定管理システムの導入で、その役割をシステムに譲りましたが、規定や内規についての判断、解釈に疑義が出た場合には、規定を管理している本社人事に問い合わせをして、全社の統一見解を決定して、運用内規に反映していくやり方はいまだ各担当者によって、しっかりと受け継がれており、会社の合併後の融合融和に貢献できたと考えています。

 

つづく…