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IVYおじさんの創業日誌

コンサル依頼

先月、旧知の社長さんから人事コンサルをお願いしたい旨のメールをいただいた。以下、差しさわりのない部分のみ抜粋して引用させていただく。

 

正社員で副業OK、週4日勤務って人がいるのですが、「週3日で働きたい」という要望があり…「週3日で正社員とするのか?」とか「その場合の勤務条件は?」みたいなことが経営会議の議題になりました。

そこで会長から「これは、個別対応ではなく、全体的な視点で検討した方が良い。就業規則を修正するなどの必要もあるかもしれない。今回のケースだけでなく、これを機に『新しい働き方』に対応した就業規則の見直しをしたらどうだ?」とアドバイスされました。

社員区分の定義など、だいぶ前に決めただけなので、その区分見直しも含めてやらないとな、と感じています。

 

今回の手順

お願いされた内容をストレートに受け取ると「あたらしい働き方を踏まえた社員区分の見直し」ということになりそうだが、そう簡単ではない。

 

人事の役割とは「事業計画の達成に必要な人的資源を、質的、量的にタイムリーにマネジメントしていくこと」である。つまり、どんなビジネスでどのような価値を顧客に提供していくか、を起点として、それも人的資源について検討する場合には、中長期の視点で考えなければならない。ヒトはすぐには育たないし、人事の施策は効果はすぐには出ないのである。

 

10年後の事業

したがって、中長期の起点として、10年後くらいの事業を考えるところからスタートする。大企業であれば、人材も豊富であり四六時中こんなことを専門に考えている部署があるが、中堅以下の企業ではここまでイメージしている企業は少ない。

 

なので、ここのイメージをできるだけ具体的につくって、それを言語化していく作業からスタートするのである。人事の仕事でそこまで?と思う読者もいるかもしれないが、ここからスタートしないと「人事のための人事」になってしまうのだ。

 

ありたき人材像

10年後の事業イメージが固まったら、それをもとに「そのビジネスを持続的に成長させる人材とは」といった、人材要件を定義していく。ここはできるだけ具体的であればあるほどいい。

 

さきほど「人はすぐには育たない」と書いたが、たとえば社長が自分の後継者をつくっていくといったミッションでは、10年スパンで考えていかなければならない。

 

それと同じように、10年後のビジネスを担う人材をいまから採用し、育成していくために、10年後の人材要件からバックキャストで、いまどのような準備をしておくべきか、を検討し、施策や制度に落とし込んでいくのだ。

 

●●らしい働き方

10年後の人材要件を満たす人材を確保、育成していくためには、人事まわりはもちろん、人事以外の会社内の施策も、それをゴールとしてベクトルをそろえていく必要がある。

 

そんな中でも結構なウエイトを占めるのが、「働き方」である。いままでの日本の企業は働き方について、そんなに考える必要はなかった。残業や出張、転勤など会社の都合に合わせて働ける「制限のない働き方」ができるヒトが主流だったからだ。

 

しかし人出不足が深刻化し、労働力人口がどんどん減っていくことが喫緊の課題となったいま、企業は「制限のある働き方」を前提としたヒトに活躍してもらわなければならなくなってきている。

 

そんな状況である。働き方のデザインというものの重要性は、人事施策や制度の中で相対的に高まってきているのである。

 

契約形態(社員区分)

まずはその企業らしい働き方をしっかりと定義して、その働き方を実現するための制度や施策を検討していくというのが、ここ最近のトレンドである。

 

働き方を定義する上でポイントとなるのは、労働力の調達方法である。つまり労働力を確保するために、どのような契約をその提供してくれるヒトと結ぶか、ということだ。

 

正社員で採用する、といえばわかりやすいと思うが、選択肢は正規、非正規だけではない。直接雇用だけでもさまざまな雇用形態があるし、派遣社員や仕事丸ごとアウトソーシングフリーランスなどへの業務委託や請負なども考えられる。

 

どんな仕事をどんな働き方で取り組むのが最適か?といった視点でありとあらゆる選択肢を検討して、最適解を見つけていく作業に取り組んでいくことになるのだ。

 

2ヶ月後イメージ

これから週1回2時間ずつのミーティングを2ヶ月繰り返し、これらのステップを踏んでいき、最適解を見つけてていく。当然、ミーティングはディスカッションの時間なので、次回のミーティングまでの対応や準備は、店主の仕事である。

 

このゼロベースからディスカッションをくり返して、最適解を見つけていく作業こそ、将来の経営課題である人事を考えていく大切なプロセスなのだ。それは苦しくもあるが楽しい時間でもある。いまから2ヶ月後の成果物のできあがりが楽しみである。