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IVYおじさんの創業日誌

社長の想い

昨日、人事制度の構築をお手伝いさせていただいたクライアント企業のキックオフミーティングに参加させていただいた。年始のミーティングにあわせ、昨年から議論を重ねてきた人事制度について、社員に説明をするという。

 

Zoomで開催された説明は、質疑応答を含め約1時間。ここの会社は、社員が参加するこういったミーティングでは、ほとんどのメンバーが疑問がわいた瞬間にチャット機能で全員あてに質問を書き込むのが習慣化している。おどろくべき「心理的安全性」である。

 

社長が説明した内容は、実に経営陣の想いが詰まったすばらしいものであった。制度構築の最終盤に、社員説明向けのストーリーと資料のたたき台は準備させていただき、お渡ししたのだが、それをベースにすっかりクライアント企業自身の説明になっていた。

 

 

実は、この社長から年始に顧客向けに配信された「年賀メール」があり、そこに人事制度構築に向けた想いが語られていた。せっかくなので、その部分をご紹介しよう。長文になることをお許しいただきたい。

 

コロナが5類に移行されたぐらいのタイミングで、一気に広がった多様な働き方を、どこまで通常としていくのか。より多様な人材が、自分らしくそして当社らしく働いていくために、改めて経営としての方針を提示する必要があるのではないか。そんな思いに至り、10年以上ぶりに人事制度を変えることになりました。

人事制度設計のプロである外部パートナーのアドバイスに沿って始まった人事制度改定。まず最初に考えたことは「2035年の会社のありたき姿」でした。

少なくとも10年間運用する人事制度をつくるなら、10年後の理想の状態をイメージし、そこにフィットした制度をつくらないと…という流れです。とても納得しましたが、今年の目標」さえも作っていなかった自分には、とってもハードルの高いお題に感じました。(中略)

そうして設定した会社の2035年の姿。改めて見てみると、特別なものではありません。創業時から目指してきたことが少し具体的になった、そんなものでした。

ただなんだか心の底にある「本当に守りたいもの」。ずっと昔からあった宝物を掘り当てたような、そんな感覚になるものでした。

 

年始にこのメールをいただいて店主は確信した。この制度はきっとうまく行く。なぜなら経営者自らが、しっかりとしたビジョンを持って、それを形にした制度を、想いをもって運用していく道筋が見えたからだ。

 

30年以上の経験から導き出した店主の持論のひとつは、「制度は入れ物、成功するかは想いを入れた運用」というものである。

 

経営者や上司は、「人材育成は重要」といいながら、伝えにくい事実をフィードバックすることから逃げがちである。そして制度に頼るのだ。これが制度運用の失敗の定石でもあるのだ。

 

制度は入れ物に過ぎない。制度を過信することなく、その制度を自らの社員に向けたメッセージを伝える手段として、想いをもって使い切ることで、はじめて効果的なツールになるのだ。

 

今回のようなクライアント企業とする仕事は、やってきた甲斐が報われるような気がして実に気持ちがいい。年始からそんな気持ちにさせていただいたミーティングであった。