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IVYおじさんの創業日誌

事務職

どの企業にも事務という仕事がある。会社によっては間接部門とかバックオフィスとか呼ばれる。そして「事務職」という単語のイメージは、「専門性を必要とせず誰にでもできる仕事」という語感が強い。

 

店主は新卒で自動車部品メーカーの工場人事に配属された。最初に担当したのは工場の社員5百人分の勤怠管理と給与計算である。まさに事務職だ。

 

教育担当の係長は「まさか大学卒業して給与計算をするとは思わなかったでしょ?」と同情しつつ声をかけてくれた。その言葉に若干おどろいたが、それがビジネスの現場での事務職への評価なのだということも同時に理解した。

 

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しかし事務職としてのキャリアを積んでいくうちにどんどん考え方が変わってきた。社内のほかの部門から異動してきたメンバーのうち、結構な確率で事務仕事をきちんと遂行することができないのだ。

 

事務の目的とは、必要とされるアウトプットをいかに効率的に間違いなく出すかである。行う作業とアウトプットそれ自体は付加価値を生まないので、いかに効率的に行うかがそれを担当する者の付加価値となる。

 

実はこの目的を達成するためには、「専門性」と呼んでもいいレベルの知識やテクニックが存在する。「データ集計してまとめるだけでしょ!」と考えている人は認識を改めた方がいい。

 

最近バックオフィス部門が弱くて困っているという話をうかがうことが多い。よく聞いていくと事務職の専門性がしっかり身についていないことに起因するケースがほとんどである。

 

 

なぜ近年事務職の専門性が落ちてきているのか。原因はさまざまあるとは思うが、店主は現場力が落ちているのだと考えている。正社員の長期勤続があたり前であった頃は、事務職場にも定期的に新卒が配属され、上司や先輩社員からしっかりとOJTを通じて事務スキルが叩き込まれていた。

 

しかし、コスト削減を目的とした派遣社員などの非正規化により、事務仕事は付加価値を生まない仕事として、まっさきに置き換えられていった。そうして職場ごとのノウハウがまったく蓄積、伝承されない構造になっていったのが最大の原因ではないだろうか。

 

なので、マネジメントからメンバーまで、職場の仕事の全体像を理解しているメンバーがだれもいないという状態があたり前になってしまったのだ。

 

しっかりとした事務部門運営を行うためには、それなりの経験と専門性をもったキー人材を配置して、体制を構築していくとともに、事務の専門性をしっかりと教育できる職場づくりを目指していきたい。プロフィットセンターが成果を出すための土台がしっかりしていないと持続的成長は望めないのである。