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IVYおじさんの創業日誌

住民税

先日個人住民税の納付書が届いた。店主は自分で自分の報酬計算と支払いをしており、報酬から毎月住民税を控除して納付するのが面倒なので、普通徴収にしている。

 

個人住民税の納付方法には「普通徴収」と「特別徴収」の2とおりの方法がある。店主が選んだ普通徴収とは、固定資産税などのように1年分の税金を4回に分けた納付書が送られてきて、自分で納める。

 

一方で毎月の給与などから天引きされるのが「特別徴収」と呼ばれる。会社に勤めている人はほとんどこちらの方式なので、読者にもなじみがあると思う。

 

ところで「川崎市は大手の工場がたくさんあり税収が豊かなので、住民税が安い」とか「田舎で産業がないので、住民税が高い」などという会話をよく聞く。しかしこれは都市伝説以外のなにものでもない。

 

住民税というのは地方税法で定められており、納税先により「都道府県民税」と「市町村民税」の2種類がある。さらにそれぞれに対して所得に応じて課税される「所得割」と所得にかかわりなく一律の金額が課税される「均等割」に分けられる。

 

 

基準となる税率や金額は決まっている。地方自治体によって基準を元に独自の税率や金額を設定できるものの、その額はほとんど差がないといっていいレベルなのだ。

 

自治体による差のほとんどは都道府県税の均等割によるものだ。標準額は1,000円(以降すべて年額)に対し、2023年度で47都道府県中37都道府県が上乗せをしている。上乗せ金額はトップの宮城県で年間1,200円を「みやぎ環境税」として上乗せし2,200円となっている。月々100円である。

 

都道府県税は上乗せしている都道府県が37と圧倒的に多く、標準額なのは、東京都などわずか10の都道府県だけ。

 

逆に市町村民税になると、均等割を増減しているのはわずかだ。2023年度上乗せしているのは横浜市が年間900円、神戸市が400円と2市のみ。減額しているのは名古屋市が200円、大阪府田尻町300円の2町村である。

 

所得割だともっと少なく、同じく2023年度のデータになるが、市町村で兵庫県豊岡市で+0.1%の超過課税、名古屋市▲0.3%、田尻町▲0.6%、都道府県では神奈川県の+0.025%のみである。

 

総務省:市町村民税率等別市町村数調(令和5年度)>

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/pdf/ichiran06_r06/ichiran06_r06_13.pdf

 

所得割の税率は、所得控除を差し引いた課税標準額に乗ずるので、所得割、均等割双方に超過課税している神奈川県を見ても、たとえば給与収入600万円の場合で所得割で多く見積もっても年間750円、それに均等割の超過課税(市:900円、県300円)を加えても年間1,950円にしか過ぎない。

 

なので、住民税うんぬんで住む場所を決めるなどということ自体、ナンセンスなのだ。それよりも自身の住んでいる自治体ではどのような税率や額で住民税を徴収し、その税金がどのように使われているのか?をしっかりと確認するべきである。

 

ちょうど今月の給与支給とあわせて住民税の決定通知書(細長い帯)が会社から配布される。今年はしっかりと確認してみてはどうだろうか。