Cafe HOUKOKU-DOH

~ホッとひと息的な読み物でブレイクするサイト~

IVYおじさんの創業日誌

残高試算表

先週の土曜日、契約している会計事務所からはじめての残高試算表が届いた。起業準備をはじめてから、正式に開業し、はじめての月末である。いままでためていた領収証などをまとめて送り、会計の帳簿をつくってもらったのだ。

 

届いた残高試算表は、貸借対照表と呼ばれるバランスシート(BS)と損益計算書(PL)の2種類。いままで会計については、ビジネスパーソンのたしなみとして、通信教育をやったり、本を読んだりしてきたが、イマイチものになっていない。

 

しかし、ひとり会社とはいえども一国一城の主である。これからはよくわかりません、というわけにはいかないので、店主の尊敬するコンサルタントである國貞克則氏の「財務3表一体理解法」で学んだ知識を総動員してしっかり読み込んでみた。 

とはいえいたってシンプルな事業でしかもスタートの1ヶ月分である。なにもむずかしいことはない。すぐに理解できる内容だった。

 

創立費

コンサルなどという携帯電話とパソコンさえあればいいといわれる業種にも関わらず、創立費は定款認証費用や登記申請料などの法定費用の3倍くらいになった。

 

創立費は起業準備のための費用であり、開業した会計年度に費用とするのは実態に即していないとうことで、任意に償却(費用として計上)することが認められている。将来、しっかりと黒字化できたときに償却することにした。

 

月次決算

つぎにPLだが、これもいたってシンプル。売上はゼロであり、経費である販売管理費がやはり創立費と同じくらいの金額として計上されていた。費用の内訳としては、通信費や事務用品費、図書費などが大部分だが、この業態、規模の会社で一番の経費といえばやはり人件費である。

 

人件費はひとり会社なので、当然店主の報酬ということになる。起業した先輩にもいろいろ聴いて回ったが、創業直後は役員報酬をゼロにしていたという方もいた。店主としては、当初からある程度売上は立つ見込みだったので、利益を出しすぎないよう逆算して報酬額を決めておいた。

 f:id:HOUKOKU-DOH:20210408055009j:plain

役員報酬というのは、とくにわが社のようなオーナー企業の経営者が、法人税などを逃れるために利益を操作する目的で、役員報酬を利用できないようになっている。法人税法で定められた要件をクリアしないと「損金算入」できないのである。

 

損金算入できる役員報酬の要件は次の3つとされている。

  • 定期同額給与
  • 業績連動給与
  • 事前確定届出給与

 

「損金算入できない」ということは、役員報酬の分だけ利益額が増えるので、その額に法人税率が掛かってくることになる。たとえば年間報酬額が5百万円で法人税率が10%の場合、法人税だけで50万円になるのである。

 

こんな話は、売上げがきちっと立ってからの話なのだが、そこはシビアに見込みも含めて計画的に報酬額を決めていかなければならない。

 

3月度の月次決算は売上ゼロなので、役員報酬も含めかかった経費が全額「営業損益」として計上された。

 

キャッシュフロー

BSもPLも企業のお金の面から見た事業活動を表しているのだが、これは実際のお金の動きとタイムリーにリンクしていない。掛け売りだったり、在庫を抱えていたりと実際にお金が動くのは、タイムラグがあるのだ。

 f:id:HOUKOKU-DOH:20210408055005j:plain

そこで重要になってくるのが、キャッシュフロー計算書(CS)である。実際わが社も売上が入金されてくるのは4月末だ。単発の仕事などもあるので上下はするが、長期契約で毎月ある程度決まった金額が入るようになるのは、はやくて6月末以降である。

 

要するに今月のような売上ゼロで経費だけが出ていくのがあと3ヶ月くらいは(程度の差はあれ)続くのである。ここらへんのカラクリが「黒字倒産」などということが起きる理由のひとつである。

 

なので、経営者としては、事業の売上や儲けももちろん大切なのだが、一番気を付けて見ていかなければいけないのは、実はキャッシュフローなのである。

 

わが社のような原材料を仕入れて商売をするビジネスでなければ、そこまでシビアに見る必要はないが、仕入れが必要なビジネスは、仕入れにかかるお金がどのくらい後に回収できるのか、というのはとても重要なのである。

 

財務3表を真剣に読むようになったことも、起業してみて経験できたいいことのひとつだろう。