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人事屋修行記(第18話)

自分マニュアルを作る

新人のうちは、すべての仕事がはじめてのものばかりです。当然、最初に説明はされますが、その量たるや大変なものであり、全部を記憶できるはずもありません。普通は説明を聞きながらメモをとって行きます。しかし、教えてくれる先輩社員は忙しい人であり、またペースも新人とはくらべものにならないくらいのスピードでいろいろな仕事をこなしています。ですので、メモをとるのも要点やポイントだけに絞って簡単に済まさなければなりません。

 

最初のうちは、簡単な作業やオペレーションだけですので、説明されたときにとったメモだけで済むのですが、担当する仕事もだんだん複雑で大量になってきます。そうすると同じ作業をやろうとするときに、メモだけでは何を言っているのかさっぱりわからないということが出てくるようになりました。

 

しかし、1回説明を受けた同じことを再度、たずねるのは、先輩に失礼ですし、何より忙しそうに仕事をしていて、訪ねるタイミングもなかなかやってきません。しかしながら、わからないところをはっきりさせないと仕事が先に進みませんし、自分としては困り果ててしまいます。

 

もう仕方がありませんので、勇気を出して、半分開き直ってたずねる訳ですが、最初の1回、2回までは静かに説明してくれている先輩も何回も続くと、「同じことを何回も聞くな!」と声が大きくなってしまいました。

 

これは、言われた自分もそのとおりだと思っているので、結構こたえました。しかし、教えてもらっているとき、メモをとるために忙しい先輩の時間を取るのも気が引けます。ここのバランスには結構悩みました。

 

そこで2つのことを心がけるように工夫することにしました。一つは、自分用のマニュアルを作るということです。マニュアルというと大げさに聞こえますが、要は先輩から説明を受けたメモを元に、ひととおり作業が終わったら、全体を振返って、時系列に手順を箇条書きし、そこでの気づいたポイントなどをあわせて自分用のノートに書き込んでいきました。

 

次回、同じ作業をする際には、前回作ったノートをチェックして、頭の中を整理した上で、作業に取り掛かります。同じ作業で、違った課題や問題が出たり、失敗などをした際には、またそのノートに書き込んで行きます。そうすることで、一つの作業に対してPDCA(その頃はそんな言葉も知りませんでしたが…)が回りますし、マニュアルの精度も上がってゆくことになります。自分用ですので、他の誰かに見せる必要もありませんから、見栄えも気にする必要はなく、気に入ったようにメモを追加していけばいいのです。

 

こうすることで、ずいぶんと仕事を覚えるのが楽になり、自己完結もできるようになりました。また、いつも行う仕事であればいいのですが、半年ごとや一年ごとにやる仕事の際には特に前回のやり方や失敗を思い出したりするのに役立ちました。

 

そしてもう一つは、そのマニュアルと一緒に前回の作業で作成した成果物である書類や過去に先輩が作った書類を眺めることでした。前回の書類だけだと自分がやったレベルのことだけですが、先輩が作った書類であれば、そこには店主が経験したことがないことが織り込まれている可能性があり、その気づきが何度も役に立ったことを記憶しています。

 

人事の仕事をし始めて数ヶ月は、毎日そんなことの繰り返しであっという間に終電の時間という感じでした。

 

つづく…