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人事屋修行記(第60話)

昇給計算

本社人事へ異動になって、あたらに担当した仕事の一つに昇給計算がありました。本来の役割、分掌からいえば、給与管理課が担当するのが自然なのですが、当時の給与管理課長が「やったことがないのでうちではできない」の一点張りでらちがあかず(?)、店主が担当することになりました。

 

制度整合後、2回目の昇給計算でした。1999年の1回目は制度を整合した人事企画室の主幹が担当しており、店主も昇給計算の経験はなかったのですが、先輩からお願いされればやるしかありません。まずは、必要な書類や資料集めからスタートです。

 

初めての仕事を担当する場合、最初にその仕事の成果物を確認し、ゴールのイメージをしっかり自分の中に作ります。その後、その成果物を定義するための資料、つまり昇給に関する整合内容の書類やルール、組合との協定書、覚書などをひととおりそろえます。

 

それらのすべてに目をとおした上で成果物、今回の場合、昇給計算結果のExcelファイルを眺めながら、どのようなロジックと手順で計算が導き出されたかを解析していきます。最後にその解析結果を規定などで裏づけをとって手順を確定させていくというものです。

 

 

本来であれば、新しい仕事を始める場合には、前任者の作ったマニュアルなどがあって、引き継ぎを受けるのですが、店主の場合はいつも前任者が忙しい人で、前回の成果物と資料を渡されて「あとはよろしく!」ということがほとんどでした。

 

ここまで下調べをした後、手順の整理も含めてやるべきタスクを書き出して、それを日程表という形にしていきます。ここまでできれば、仕事は8割が終わりです。あとは、日程表にしたがってコツコツ作業を積み重ねていき、日程表のタスクを塗りつぶすのみです。

 

一連の仕事の流れの中で一番楽しいのは成果物、今回の仕事でいえば昇給計算の結果の正確性をどのような手順で検証すれば、論理的に正しいかという仕組みを考えて作り上げ、仕組み化し、実際に検証して、1円までピタリと合わせ込むところです。

 

 

これが合ったときの喜びや充実感というものは、なにものにも代えがたく、それまでの長く苦しい作業をすべて忘れさせてくれるほど、爽快な気持ちにさせてくれます。また、この仕組みを作り出せることが、自分の会社に対する価値であり、役に立っているという感覚を持たせてくれるものでもありました。

 

本社人事に異動になって以降、担当するほとんどの仕事はこんな感じで自ら仕組みを作り出していくものばかりでした。

 

つづく…