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【2021-3-23更新】週刊HD労働情報

4月1日施行の労働関係法令改正のポイント

■押印廃止、36協定届の様式変更

コロナ禍で皮肉にも浮き彫りになった行政手続きでの電子化の遅れだが、河野行革担当大臣の号令で、ようやく目に見える形になってきたようだ。

 

労働関係では、労働基準法施行規則が改正され、押印欄が削除されたり、オンライン申請における電子署名の添付が不要になる。

 

一般的な企業においてもっとも関係してくるのが、労働時間管理に関する協定届であろう。以下に主なものを抜粋しておく。(今回の規則改正で対象となるすべての様式ではないので注意されたい)

  • 1箇月単位の変形労働時間制に関する協定届
  • 1年単位の変形労働時間制に関する協定届
  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する協定届 
  • 時間外・休日労働に関する協定届

ほか

主要様式ダウンロードコーナー|厚生労働省

 

改正は4月1日なので、協定の対象期間が4月1日以降であっても、3月中に届出る場合は、基本は旧様式で、署名または記名、捺印が必要となるが、今回は特例で新様式で署名または記名、捺印なしで提出できることになっている。

 

また、労働時間管理に関する労使協定締結の実務においては、労使協定そのものである「協定書」と協定を締結した旨を様式に記載して監督署へ届出る「協定届」の2つの別な文書が基本的には存在する。

 

一般的に変形労働など36協定以外では、「協定届」に労使で署名または記名、捺印し、それを「協定書」として兼用する場合も多い。この運用は通達で認められている。

 

ここで注意されたいのが、今回署名、または記名、捺印が不要となるとは「協定届」のみであって、「協定書」については、これまでどおり、署名または記名、捺印が必要だということだ。

 

したがって、「協定書」そのものを「協定届」の様式で代用し、1枚で済ませている場合には、協定届の様式で代用している「協定書」へ署名、または記名、捺印をし、そのうえで労基基準監督署へ届け出をしなければならない。

労働基準法施行規則等の一部を改正する省令について |厚生労働省

 

■70歳までの就業機会の確保が努力義務化

 65~70歳までの雇用確保が努力義務として義務付けられる。今回は努力義務ではあるものの、60~65歳に対する雇用確保の際にも、最終的には義務付けになっていることを考えると、長期視点での戦略的な取組みの検討をはじめて行くべきであろう。

【厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~】

 

中途採用に関する情報公開を義務化(300人以上)

労働市場の機能向上と、それによる雇用の安定や労働者の能力発揮を目的に中途採用市場の環境整備が求めれれている。それを受け、常用雇用労働者300人超の事業主に対し、中採比率の公表が義務付けられた。

  • 公表する事項:直近3事業年度の年度ごとの採用者数における中途採用者の比率
  • 公表の方法:インターネットその他方法で、求職者等が容易に閲覧できる方法

 

それぞれ詳細な基準が定められているので、実務を行う際には、注意されたい

【厚生労働省 正規雇用労働者の中途採用比率の公表】