スイングトップ
先週までで、とりあえずIVYの基本コーデをご紹介した。今週からは基本コーデをベースにアイテムを1つ入替えるだけで変化が楽しめるよう、季節に合わせたアイテムを取り上げていきたい。
これから夏にかけては、気温の寒暖差が激しいので、シャツの上に1枚羽織りたくなる。基本コーデではネイビーブレザーを取り上げたが、ジャケットメインだとビジネスカジュアルの域を出ないので、オフの日や職場で一目置かれるよう、カジュアルをメインにご紹介していきたい。
IVYというと、どうしてもこだわりのおじさんたちが、おそろいのストライプのブレザーを着込んで集まって談笑している絵が浮かび、ドレスアップのイメージがあるが、もともと米国の大学生の服装がスタートなので、カジュアルな着こなしが合うアイテムがとても豊富だ。
ブレザーのかわりに羽織るとすれば、この季節にピッタリなのは「スイングトップ」である。このどう読んでも和製英語チックなネーミングは、VANの創業者、石津謙介氏である。
ゴルフのスイングをするときに便利なように背中にジッパーをつけて、ひらくと背中が広がる仕掛けを考え、VANで売り出したのである。服自体も相当売れたようだが、なによりこのネーミングがヒットして、薄手のジャンパーの代名詞になったのである。
本家のVANでは、現在でも定番商品として売られているようだが、ここでご紹介したいのは、スコティッシュ・ドリズラー。とくに赤いものはこれを羽織ってリーバイスを履くとジェームス・ディーンの気分になること間違いなしだ。
バラクーダG9ジャケット
スイングトップといわれてもう一つ思い浮かぶジャンバーがある。英国製のG9ジャケットである。これこそゴルフジャケットの元祖として、1930年代から作り続けられている。
ドリズラーがコットン/レーヨンの薄手の生地で、余計な装飾などをいっさいはぶいた究極のシンプルさで作られているのに対し、G9の方は袖口、ウエストゴム、襟にリブがついていて、特徴のひとつになっている。
また、ゴルフジャケットとして設計されただけあって、ボールが落ちないようにフタつきのポケットや外観を損なうことなく雨を効果的に流す背面の「アンブレラ」バックヨークなど、機能的なデザインも人気である。
基本コーデのブレザーをこのスイングトップに変えるだけで、思いっきりカジュアルに振れて、ビジネスのにおいはまったくしなくなる。しかしこれ以外のアイテムはすべてブレザーに合わせたものであり、カジュアルの中にも上品さを残していて、上着を脱ぐだけであっという間にビジネスカジュアルにもなれるのである。
この基本コーデのアイテムを1つだけチェンジしてもまったく違和感のないコーデになるのがIVYが服装の基本と呼ばれるゆえんであろう。