ジャンパー
衣替えの時期である。季節を少々先取りし、今週は秋冬カジュアルコーデには欠かせない上着を見ていきたい。
ジャンパーとは広辞苑によると、「前開きでゆったりした活動的な上着。袖口や裾がぴったりしているものが多い。作業着・遊び着・運動着として用いる」とある。英語ではショートジャケットとかゴルフジャケットなどと呼ぶようなので、ジャンパーとは和製英語である。
カジュアルウエアなので、さまざまなデザインのものが出回っているが、アイビーボーイ好みのアイテムとなるとやはり米国や英国由来の長年親しまれているものが多い。
スタジアムジャンパー
IVY的ジャンパーの代表格といえば、まずはスタジャンを語らなければならないであろう。わが国でも市民権を得てずいぶんと時間が経つので、さまざまなディテールのものが市場に流通しているが、メルトンの身頃に本革の袖が正式である。胸にエンブレムやイニシャルのレターを貼るのは、アイビーリーグ各校のスポーツ選手が着ていた証だ。
このスタジャンほどコーデの幅が広いジャンパーはないであろう。チノパンやコットンパンツはもちろん、ジーンズもホワイトだけではなく、インディゴも相性抜群である。秋冬シーズンなのでコーデュロイなんかも渋い感じでイイ。もともと選ばれたスポーツ選手に贈られるものなので、スウェットパンツなどのスポーツウエアとの相性も抜群である。
スコティッシュドリズラー
映画「理由なき反抗」でジェームスディーンが着ていたと混同されがちだが、ディテールは似ているものの、素材や細かい点で若干違う。しかし現代のわれわれとしては、ジェームスディーンが着ていた真っ赤なジャンパーでとおしても構わないと思う。
その特徴はなんといってもそのシンプルなデザインで、余計なものは一切排除したことが、長い年月にわたって親しまれている理由なのだと感じさせてくれる。
このドリズラーもシンプルなだけにコーデの幅は広い。60年代キャンパスルック風が定番ではあるものの、もう少し時代をさかのぼって50年代のアメリカングラフティー風コーデを楽しんでみるのも一興である。
ボマージャケット
IVYに革ジャン?と思われる向きもあるかもしれないが、そこはやはり両者ともアメリカ生まれであり、相性は悪くない。レザージャケットにはさまざまなデザインがあるが、IVY的にはシンプルなボマージャケットが好まれる。
ボマージャケットという名称からもわかるように、元々は第二次大戦の米軍の爆撃機搭乗員の制服である。軍の支給品だけに型番で呼ばれ、これらジャケットの双璧をなすのが海軍のA-2に対して陸軍のG-1である。
店主は個人的に襟にムートンのつかないシンプルなA-2が好みであるが、IVYの教本をみると、そのデザインはG-1であり、ちょっと肩身の狭い思いをしている。
無骨な爆撃機乗りのウエアだけに、コーデのポイントは逆にこぎれいな格好に合わせることで、アンマッチな感じを楽しむのもおもしろい。ウールのパンツやボタンダウンシャツなどとあわせておとなな感じで楽しんでみたい。