Cafe HOUKOKU-DOH

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人事屋修行記(第21話)

仲間との出会いの大切さ

 

川崎工場の人事に配属になって2ヶ月くらい経った頃、隣の経理の先輩から声をかけられました。「今度情シの若手と飲みに行くんだけど、よかったらどう?」店主はご承知のようにお酒が好きですが、当時は、職場の上司、先輩は一切飲ます、同期も飲むのが好きなのは、本社の経理に配属になったひとりくらいで、いまだ会社帰りにちょっと一杯という仲間がいませんでした。「ホントですか。よろしければ是非、ご一緒させてください!」と二つ返事で連れて行ってもらうことになりました。

 

人事の職場は、隣に経理、通路をはさんだ向かい側に情シの部屋があり、当時休憩時間には職場の脇でタバコが吸えたので、その情シの彼の顔は知っていましたが、話はしたことがありませんでした。当日は武蔵小杉の居酒屋へ3人で行き、飲み会がスタートです。2人は以前からよく飲みに行っていたようで、いつもの感じで仕事の話を始めましたが、店主はそもそも会社の人と飲みに行くのもほとんど初めてで、仕事のことも周囲のこともよくわからず、なかなか話しに入れません。

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しかし2人とも、新人にはやはり興味があったようで、次第に店主の身の上に対する質問コーナーのような感じになってきました。店主も話を振られれば、しゃべるのは嫌いな方じゃないので、訊かれた以上のことを話して、その日は、お互いの自己紹介を念入りに2時間以上かけてやったような具合でした。

 

当時、3人とも独身で、なかでも情シの彼は、会社の裏口の目の前のアパートを寮として住んでいました。いろいろ話をしていくうちに、彼は情報システムの専門学校を出ていて、会社には3年前に入った先輩であるものの、歳は店主と一緒だということがわかり、すっかり意気投合です。

 

当時、彼も店主も職場の周囲に同じような感じの人がいなくて、お昼も休憩も一人でって感じだったこともあり、飲み会以来昼メシも、休憩のタバコも、夜の残業メシも常に一緒に行動するようになりました。2人とも仕事も毎晩遅いのですが、夜の10時まで残業して、帰りに声掛けると、「軽く行く?」ってノリで近所の向河原あたりの居酒屋で一杯やって、終電にダッシュするか、彼の家に泊めてもらうかって感じで、休みの日もよく遊ぶようになりました。

 

彼は、非常に頭の回転が速く、仕事も良くでき、システム屋さんとしてボクと同い年にも関わらず社内からかなり信頼の厚い感じでした。担当しているシステムは、ボクがお世話になっている人事系ではなく、生産管理や購買関連のシステムを担当していて、仕事で直接からむことはなかったのですが、逆にそれがよかったようです。

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よく2人で飲みに行っては、会社の仕組みで店主の知らない領域のことやシステムのこと、それも初歩的な内容から、将来ITはどのように仕事に関わっていくかなど、今思えば小僧2人が偉そうになにを語っているのかって感じになるような内容を、毎週のように飲みに行っては議論をしていました。店主の社内の知識や人脈、あとは仕事などの基本的な考え方にものすごく影響をくれた人でした。

 

彼はその後10年ほどして会社を去ることのなるのですが、それまでの間はとにかくよく飲み、よく遊び、よく仕事をしました。彼は店主に大きな影響を与えましたが、店主も彼の人生に大きな影響を与えてました。彼のカミさんは店主のカミさんの会社の同期社員で、カミさんが結婚して会社辞めて川崎に来てからもよく家に遊びに来ていました。そこで、彼と偶然一緒になり、4人で何度か飲んでいるうちに、2人で我が家に遊びにくるようになり、最終的に結婚しました。どこに出会いのチャンスがあるかってわかりませんね。

 

仙台から出てきて初めての一人暮らしの中、仕事をなんとかこなして、社会人としてスムーズにスタートできたのも彼のおかげだと今でも感謝しています。

 

つづく…