ダーティーバックス
秋といえば黄土色のスエード革で、トラッド臭がプンプンする外羽根式プレーントゥと同じディテールのカジュアルな靴の登場である。
その特徴は赤い赤煉瓦ソールと呼ばれる靴底にある。そもそもダーティバックス(dirty bucks)とは、「汚れた」という意味であり、汚れる前の靴が存在するのだ。
それがホワイトバックスと呼ばれるシューズなのだ。ホワイトバックスの起源は、1800年代の英国。オックスフォード大学の学生たちのスポーツ観戦用の靴だった。
当時、英国のエリート学生に人気のスポーツといえば、テニスである。アイビーアイテムのなかにも、チルデンベストのように、テニスに由来のあるアイテムがよくある。
テニスコートにはクレイコートといわれる赤褐色の土のコートがあるが、当時は、この赤褐色の土が観客席にも敷いてあったそうだ。
これでは靴が汚れるということで、それでは靴底も同じ色にしてしまえ、という理由で赤い赤煉瓦ソールが採用されたといわれいる。
この英国で流行っていた靴を1900年代に入り、米国のアイビーリーガーたちの間で流行ったのである。
しかし、真っ白なバックスキンは、すぐに土などで汚れて黄土色になってしまう。それなら最初から黄土色にしてしまえ!ということで誕生したのがダーティーバックスなのだ。いかにも合理的思考のアメリカらしい発想である。
このダーティーバックス、オリジナルやワンウオッシュくらいのデニムをこぎれいに履きこなすときにとても重宝する。デニムのいろいろな表情を楽しみたい人には便利な靴である。