本部週次ミーティング
本部長が交代してまず変わったことは、毎週本部の全部長との週次ミーティングが開催されるようになったことでした。前任の本部長は、そのような時間を一切設けず、必要な指示は個別に都度行うタイプの人で、毎週開催されている役員ミーティングで取り上げられた内容の共有などはありませんでした。
前々職では、管理本部という組織があり、そこに総務部、経理部、事業管理部、販売管理部、情報システム部、知財法務部、そして店主が担当する人事企画室の7部から構成されていました。
店主は7人の部長の中で年令は下から2番目の若さでしたが、部長になったのは一番遅く、比較的忙しくもなかったので、自分が事務局を担当した方がいいかと思い、買って出ました。
役員ミーティングは毎週火曜日の午前中に行われるので、どの本部も翌日水曜日の朝イチから同じような会議をセットしていました。管理本部は秘書も抱えていましたので、役員会議室という環境のいい場所を定例の開催場所に設定し、朝9時から1時間のミーティングがスタートです。
内容はごく一般的なもので、前日の役員ミーティングの内容共有と各部長からの予定ならびに必要事項やトピックスの共有です。しかし、我々管理本部の部長にとっては、いままで一切共有されず、周囲からなんとなく聞くことしかなかった内容を正式な形で聞くことができ、新しい本部長にとても好感を持ちました。
本部長もそれが目的ではなかったと思いますが、やはり早く部下である部長連中の人となり、そしてどのようなことが現場で起こっているのかを知りたかったのだと思います。やはり違う会社から来ていきなり役員そして本部長ですから、立ち上がりのスピード感は気にしていたのでしょう。
このミーティングの仕切りはそんなに手間のかかるものではなく、イレギュラーなときの日程調整と新宿の本社と宮城の工場とのTV会議の接続、そしてミーティングでの司会のみという簡単なものでした。
しかしながら、一旦このような本部イベントの仕切りを担当すると、なんとなくその他の仕切りも店主がやる雰囲気ができてくるものです。オフィシャルな月次報告会などはいいとして、定期的な部長たちの飲み会や歓送迎会、そして本部長の政策秘書的な仕事までまわってくるようになりました。
親会社から転籍してきて、社内が右も左もわからないのですから、誰かそういう役回りが必要なんですね。また、本部長は経理屋さんですから、店主のように経理以外の担当領域の方が、お互いに仕事と直接つながっていないので、やりやすかったと思います。
そうして本部での店主の役回りは徐々に確立されていき、翌年人事部長として栃木の研究所に転勤したときは、本部長の目の前に席を用意されることになるのでした。
つづく…