赤のブレザー
店主のワードロープのなかでもっとも稼働率が低いアイテムのひとつに赤いブレザーがある。平均的には数年に1回くらいの頻度でしか、袖を通すことはない。礼服よりもクローゼットのなかにぶら下がっている。
いま思い出せるのは、10年ほど前に友人の結婚式の2次会パーティに着ていったきりだと思う。
ブレザーのワードロープは、紺、キャメル、ブラックウオッチそして赤の4種類をラインナップしている。
いちばん稼働率が高いのは、もちろん紺。キャメルとブラックウオッチもそこそこ着る機会がある。紺が続いたときなど、変化を取り入れるときに重宝する。
いっぽうで赤のブレザーは、さすがの店主でも普段街中を歩くときに羽織るのは躊躇してしまう。赤のアウターは、ダッフルコートにはじまり、マッキノウクルーザーやカウチンセーター、スイングトップなど結構な数があり、みんなそれなりに着ているのだが、ブレザーだけはなぜか、敬遠してしまうのだ。
ブレザーの語源にもなっている赤なのだが、やはりジャケットタイプなので、羽織ると少々スポーティー感が出るのが敬遠してしまう理由なのかもしれない。
ところが、である。社外監査役をつとめさせていただいている会社で、社員が月替わりで写真を撮って、カレンダーをつくろうというプロジェクトがあり、その撮影会に赤いウエアを身に付けてくるように指示されたのである。
これは10年ぶりの出番である。しかし、撮影場所までの道のりをどのように過ごそうか、これは悩みどころである。写真撮影は月末にあるので、これからじっくり考えていくことにしよう。