部下を萎縮させる「上から目線」の何気ないひと言
読者のみなさんのなかで、自身の話を最後まで聞いてもらえず、「要するにこういうことだろ?」と話をさえぎられた経験はないだろうか?
「上から目線」とは広辞苑によると、「他人を見下すような自分を上位に置いた存在な態度」とある。
この行動や態度の根底には、「相手を自分より劣っていると見なしている」という意識があるそうだ。
一般的な特徴はこんな感じである。
- 否定から話し始める: 相手の意見を頭ごなしに否定し、「いや、それは違う」などと発言してしまう
- 命令・断定的な口調:自分の考えが絶対であるかのように、「こうすべきだ」「〜しなさい」と決めつけた言い方をしてしまう
- 専門用語や横文字を多用する:相手が知らない専門知識をひけらかし、優位に立とうとしてしまう
- 話の途中でさえぎる:相手の話を最後まで聞かず、「要するにこういうことだろ?」と話をまとめたがってしまう
- 相手の評価や行動を試す:相手の能力や人間性を試すような言動をとってしまう
職場でよく見かける読者も多いのではないだろうか。
そんなひと言を投げかけられた時の部下の気持ちはどんものか、想像してみよう。
- 「昔はもっと大変だった」:部下が抱えている苦労や課題を軽んじるニュアンスが伝わり、「自分の苦労はたいしたことがない」と感じさせてはいないだろうか。部下は相談することをためらうようになり、孤立感を深める可能性がある
- 「言われなくてもわかるだろ」:部下の理解度を試すような言い方で、威圧感を与えてはいないだろうか。わからないことを質問しにくくなり、結果としてミスの原因となる恐れがある
- 「君のためを思って言っているんだ」:一見親切なようだが、相手に反論の余地を与えない高圧的な印象を与えてはいないだろうか。「あなたの意見は間違っている」というメッセージを遠回しに伝えていると受け取られかねない
- 「そんなことも知らないのか」:知識や経験が不足していることを非難する言葉と受け取られないだろうか。部下は自分の能力に自信をなくし、新しいことへの挑戦や学習意欲を失ってしまう可能性がある
- 「どうせ無理だろうけど、やってみて」:部下の能力を最初から否定している言葉と受け取られないだろうか。努力する前から結果を決めつけられていると感じ、モチベーションが著しく低下する可能性大である
だれにも程度の差はあれ自尊心はある。マネジメントのポジションに就いた人々は、会社において等級や職位が上位というだけで公式に評価されていることを忘れがちだ。部下にとって上司というのは、上司が考えている以上に大きく、絶対的な存在なのだ。
さらにいえば、これだけ変化のスピードが速くなっている今、過去の実績や経験がビジネスの最前線においてどれだけ役に立つのだろうか?はなはだ疑問であり、経験が浅くても上司とは違った時代に培ってきた経験を「活かす」ことが、重要になってきていることは、各所で言われている。
チームとしての力の最大化を目指すならば、それが部下であろうが上司であろうが、つねに相手へのリスペクトを忘れないようにしたい。すべてはその気持ちからスタートするのである。