初商談
店主の仕事における信条ともいうべきものの一つとして、「段取り八分」という言葉がある。ご存じのとおりなにごとも計画をしっかりつくれば、ことの八割は完了したも同然である。
なので、若いころからなにか仕事に取り組むときは、なにはさておきまずは計画づくりから手を付けている。会社に入って最初に担当したのが給与計算であり、毎月の支給日は変えられないのと、他のメンバーとの共同作業なので、計画づくりは必須だったのだ。
今回の起業に際し考えたことは、なるべくサービスの間口を広げられるよう、ある程度資格も取っておくということだった。独立して仕事をすることは、前回の転職時にキャリアプランとして描いていて、前職在職中にすでに2つの資格を取ることができた。
もうひとつの資格を取るのに、次回の試験がある6~8月から逆算して、勉強のスケジュールも入れつつ、会社設立の手続きを埋めていった。
やはり書いてみると時間はありそうで、そんなに余裕はないことが見える化できたし、手続きの前後関係も整理できた。
これで、やるべきことは整理できたので、この計画表にしたがい行動し、できたタスクを塗りつぶしてゆくだけである。
今回起業をするにあたって考えたのは、基本的にセールス活動はせず、紹介で仕事を受けることにしようと考えた。バックオフィス一筋30年の店主が、セールスやってうまくいくわけはない。それよりも自身が提供する付加価値の最大化を目指すことにしたのだ。
なので、できるだけたくさんの友人、知人に事業内容を知ってもらい、なんかの拍子に「そういえば…」というのを、最初の一歩にしようと考え、ご挨拶かたがたみなさんにお伝えすることにした。
時期もちょうどよかったので、年賀状に「会社辞めて人事コンサルします!」と書いて送ったり、SNSでつながっている方には、年賀状を添付し送ってお伝えしたり、個人アカウントでのブログも再開した。
みなさんからは返信をいただき、たくさんの応援メッセージをいただいた。そんなやり取りの中で、SNSで相談をくれた方がいた。
その方がいうには、「数十人規模の会社で、給与計算などを頼んでいる会社に労務案件の相談を契約しているものの、うまく機能していないのだが、いつ開業するのか?」という内容であった。
店主はすぐさま「契約もフィーもなしで、とりあえずお試しとしてお話だけ聞かせてもらえないか」と返事をし、打合せをさせていただくことになった。初商談である。
商談とはいっても、売るものなどなにもないので、ただひたすらにお話をしてくれる会社の困りごとを聞いて、店主にできることを考え、提案していくだけである。
まさかこんなに早く相談がくるとは正直考えてもみなかった。やはり世の中は人と人とのつながりなのだということをあらためて感じた3日目であった。