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Office基礎50 PPT四方山ばなし

PPTはプレゼンテーション用のアプリである。プレゼンテーションの意味を調べてみると、

企画案の提示、説明。広告用語では一般に、広告会社が新たな広告取扱いを獲得するため、広告主に対し、特定広告キャンペーンの企画を提案することをいう。これは、広告主のオリエンテーション(複数の広告会社に対し、広告すべき商品・役務の内容、予算などを提示し、企画の提出を求める)にこたえるもので、最小の予算で最大の広告効果が期待される企画案が主として採用される。

出典:日本大百科全書(ニッポニカ)

とある。

 

ビジネス用語としては米国の広告業界で使われはじめたといわれているが、米国発のアプリとしても、当初は商談用に開発されたと思われるが、90年代後半の職場へのPCの急速な浸透とともに、社内会議の資料作成に使われはじめた。

 

2000年代前半には、社内会議の三種の神器として、パワーポイント、プロジェクターそしてレーザーポインターは必須のアイテムとなった。

 

 

いまでも印象に残っているのは、親会社から転籍してきた上司が、ペンケースの中にクレヨンほどの小さなマイレーザーポインターを持ち歩いていて、会議室に映し出されたPPTの資料の該当箇所を指し示して、質問やアドバイスをするのを見て、おどろいたことをいまでも鮮明に覚えている。

 

1枚ベスト

PC出現以前の会議資料づくりは、A4版の社用箋と呼ばれるレポート用紙か、5ミリの方眼用紙に手書きし、人数分コピーして配るのが主流であった。その際のいわれていたのは、「1枚ベスト」というキャッチフレーズで1枚でまとめるのが良しとして推奨されていた。

 

1枚ベストにまとめようとすると、資料作成に際して書きはじめる前にどのようなストーリーで説明を行い、そのストーリーをより理解しやすくするために、どのような資料を示すのがもっとも効果的か、ということを考え抜いたものだった。

 

まして、手書きで作成するとなると、鉛筆で書いたとしても、行をまたぐような大規模な修正は、イチから書き直さなければならない。そんなこともあり、手を動かす前に熟考の時間が自然ととられていた。

 

しかし、PPTが資料作成に使われるようになると、その機能上悪い影響も出てきた。1枚ベストの紙の資料では、すべての資料は一覧でき、手元にずっと表示されている。

 

一方でPPTは基本的にスライド1枚ですべて説明、という訳にはいかず、紙芝居のように説明にあわせてスライドをめくっていく。ここに大きな落とし穴があったのだ。

 

最初に全体のストーリーを固めずに、思いついた資料次々とをスライドに載せていき、アイデアが出つくしたところで、ひとつの資料として完成。説明内容はスライドに載せている資料の説明に終始し、資料全体の説明を聞いてもなにがいいたいのか、まったくわからないということが起こったのだ。

 

 

そのような弊害への対策もとられた。店主が会社員時代に身につけたPPTによる資料づくりのポイントは次のとおりである。

 

資料の目的

まず、その資料でなにをなしたいのか、目的を明確にすることである。あたり前のはなしではあるのだが、意外とフワッとした感じでスタートする人も多い。目的を明確にして、それに集中することでピントがずれることを避けることができる。

 

全体のストーリーを固める

1枚ベストのときと同じように、説明時間から逆算して、口頭でどのように説明するのかストーリーを考え、それを箇条書きにまとめていく。この箇条書きに書き出すことがポイントで、あとから読み返してみることで、論理の飛躍などを防げる。

 

スライドの枚数を決める

説明時間から逆算して使用するスライドの枚数を決める。1時間の会議時間だとしたら、説明はどんなに長くても30分までである。30分の説明を前提にすると、スライド1枚の説明に3分だとかなりゆっくりと詳細に説明が可能だ。

 

逆に大急ぎで説明を行うとすると、1枚1分が限界だろう。これは内容を詳細に説明しなくともポイントのみの説明で理解できるレベルの参加者であることが前提だ。

 

スライドごとに伝えたいことを決める

ストーリーの箇条書きとスライドの枚数が決まると、ストーリーをスライドの枚数におさまるよう調整をする。箇条書きの「伝えたいこと」が1枚のスライドにおさまらないようであれば、まとめたり、省略したり、口頭のみにするなど、校正の作業を行うことになる。

 

この作業は、全体ストーリーの伝わり方を左右するので、苦しい作業ではあるが手抜きをせずにじっくりと取り組みたい。

 

伝えたいこと

各スライドにおける「伝えたいこと」が決まったら、はじめてスライドの作成がスタートする。まず「伝えたいこと」を各スライドの上部や下部の同じ場所、形のテキストボックスを設け、そこに書き込んでいく。

 

 

つぎに書き込んだ「伝えたいこと」の理解をもっとも促進するスライドの内容を考え、はじめてスライドの作成に取り掛かるのである。

 

このテキストボックスのことを店主がいた会社では「青年の主張」とか「ひと口まんじゅう」などと呼んでいた。

 

この手順で資料作成していけば、1枚ベスト当時とおなじ効果的な資料が作成できるのだが、この手順によらず、先ほどのような載せたい資料をならべただけのPPTをチェックするときは、まず、ひと口まんじゅうを各スライドに書いてもらっていた。

 

するとこの「伝えたいこと」であるはずのひと口まんじゅうが書けないのだ。また無理やり書いても、それを抜き出してストーリーとして読んでみると、まったくつながらないはなしになってしまっているのだ。

 

つまり、資料を作成することが目的になってしまい、説明をして内容を理解してもらうという資料本来の目的が手段化しているのだ。なので、思い込みで説明のストーリーには不必要な資料を作成いるのである。

 

仕事は目的達成のためにもっとも効率的な手段と、必要かつ最低限の準備で進めたい。