育介法改正
来月1日から改正育児介護休業法が施行される。読者のみなさんも就業規則の改定作業や社員への周知、あらたな事務フローの構築など、いそがしくされているのではないだろうか。
さて今回の育介法改正、厚労省のリーフレットを見るとその目的は以下の3点だ。
- 男⼥ともに希望に応じた仕事と育児の両⽴を可能とする
- 「共働き・共育て」の第一歩としての男性の育児休業取得を促進する
- 介護離職防⽌のための取組を進める
この目的を達成するための具体的な改正ポイントは以下のとおりだ。
2025-4-1施行
- ⼦の看護休暇の⾒直し(※)
- 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大(※)
- 短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク等を追加(※)
- 育児休業等の取得状況の公表義務適用拡大
- 常時介護を必要とする状態に関する判断基準の⾒直し
- 介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認
- 介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供
- 介護両⽴⽀援制度等を取得しやすい雇⽤環境整備の措置
- 介護休暇を取得できる労働者の要件緩和(※)
- 育児・介護のためのテレワーク等の導⼊(努⼒義務)(※)
雇用保険法(4/1施行)
- 出生後休業支援給付金の創設
- 育児時短就業給付金の創設
2025-10-1施行
- 育児期の柔軟な働き方を実現するための措置(※)
- 柔軟な働き方を実現するための措置の個別の周知・意向確認
- 妊娠・出産等の申出時と子が3歳になる前の個別の意向聴取と配慮
(※)は規程改定が必要と思われる項目
箇条書きにしただけでも結構なボリュームである。さらに規程の改定だけにとどまらず、社員への周知はもちろん、ピンポイントで対象者に対し周知や意向確認なども必要となり、対象者の管理やトリガーの設計、説明方法の検討など対応すべき項目も多い。
ところで、今回対応を検討するにあたり、育介法改定の変遷を調べてみた。1992年の成立後、90年台に2回、2000年台にも2回、2010年台に3回、そしてなんと2020年台は今回の改正で5回目である。
これだけ頻繁に法改正が行われていることを見ても、政府がいかに子育てや介護と仕事の両立に対して課題感を持っているかがわかる。
そして方向性も働き方の柔軟性をあげて、働き続けられるようにするとともに、制度の周知や意向確認などを義務付け、実効性の向上を目指している。
また、今回の改正では中小企業への経過措置はない。この点も見逃せないポイントで、雇用全体の7割を占める中小企業に勤める労働者も含めることで、さらに実効性を高めることを目指しているのだろう。
前述の対象者へのピンポイントでの周知や意向確認は、専任担当者を持たない中小企業には、結構な負担だ。ITツールを上手に活用して対応していくことを検討していきたい。